FileMaker Proを12にバージョンアップするべき5つの理由
いよいよ登場したFileMaker Pro 12。昨年の日本のカンファレンスで早くもデモを見せ、さらに今年に入ってもオンラインでも何度かプレビューイベントを開催したりと、珍しく早い段階から積極的に情報を公開していた本製品がとうとう姿を現した。このバージョンアップにかなり自信を持ってるということの現れだろう。実際、触ってみるとかなり良い。今回のバージョンアップのキモは、凄く楽になったレイアウト作りとグラフ、そしてiOSへの対応だ。
まずひとつ残念なこととして、対応フォーマットが変わった。これまでバージョン7で.fp7という拡張子をずっと使ってきたが、12からは.fmp12という拡張子に変わる。つまり.fp7のファイルを変換して使う必要がある。実はこれが一番大変な部分。なぜなら企業の多くはネットワーク上で複数端末で使っていることが多く、それらの端末のバージョンをすべて12に上げる必要があるからだ。ボリュームライセンスで使っている企業(この場合いつでも最新版にバージョンアップできる)でも、端末によってバージョンを上げていないところがある。今回はとにかく一斉にこれを上げなければ使えない端末が出てくるということであり、それは結構大変だ。
同じく、iOS版のFileMaker Go(iPhone/iPad)も以前のバージョンでは12のフォーマットは使えない。ただこちらは今回無料で提供されているので、ダウンロードして使えばいいだろう。
#今まで有料だったのが無料になった!と思ってダウンロードしてる人多いと思う
#残念、そのままでは使えません(_ _;
#無料評価版を落としてフォーマットを変換しましょう
この対応フォーマットを変更するという手間をかけても、12にすべき点はなんなのか。それを新機能を紹介しながら挙げてみよう。今回、とても長くなるので興味のある人は続きを読むをクリックしてどーぞ。
FileMaker Pro 12の利点は次の5点だ。
1.レイアウト作りがとても楽になった
FileMakerで一番大変なのはレイアウト作りだ。これはデベロッパーでなくてもFileMakerを加工しようと挑戦した人なら体感している部分だろう。「ワープロのような感覚で」作れるDBというのがFileMakerの強みだが、レイアウトモードはほぼフリーハンドで調整する必要があった。
今回のバージョンアップではまずフィールドやオブジェクトの移動時にガイドが表示されるようになり、フィールドを揃えたりサイズを変更したりするのがとても楽になった。センターが出たり、フィールド間隔が揃ってるかどうかをリアルタイムに確認できる(これまでは数えて計算してってやってましたよ)。これがあるだけでデベロッパーの多くはレイアウト作りに割く時間がとても短縮されるはずだ。
2.「テーマ」を簡単に適用できるようになった
最初の何もないレイアウトが、テーマを適用するだけで角丸のフィールドになったりフォントが変わったりする。テーマは40種類あり、そのうちのいくつかはタッチデバイス用にボタンやフォントが大きくなっている。フィールドを作って、位置揃えさえしてしまえばあとはテーマを適用してそれなりのDBの体裁が整えられるのは、専業でなく事務仕事の中でFileMakerを使っている人たちには便利な機能だ。とにかくレイアウトに割く時間を短縮しつつ、それなりの見栄えになって「使う気になる」DBが作れる。
3.オブジェクトフィールドが使いやすく
これまでできなかったっけ?と思ったらできなかった(笑)、写真とか音楽ファイルをオブジェクトフィールドへドラッグ&ドロップすることができるようになった。さらにオブジェクトの格納場所を外部のフォルダに設定可能になった。mp3や画像データなど大きなデータをDB本体に格納しないのでDBのサイズが小さくなり、動作が軽くなる。
画像DBなんかを作ってた人はDBサイズが大きくなりすぎて検索に時間がかかるなどの問題があったんじゃないかと思うけど、 今回の新機能で使いやすくなるはずだ。
4.グラフ機能が強化
FileMaker Pro 11で加わったグラフ機能が強化された。10種類に増えただけでなく、作図までのステップも簡単で、エクセルよりも綺麗なグラフを作ることができる。例えば表のような店舗毎の月別の売上表がある場合、店舗でソートをかけたあとで売上の項目からグラフを作成を選ぶ。
するとクイックグラフ機能でグラフウインドウが表示され、自動的に店舗別に集計した棒グラフを描くことができる。集計フィールドなどを用意しなくても自動で合計が表示でき、レイアウトとして保存すればあとはデータを追加しても自動で計算されてグラフが描き直される。積算グラフや散布図なんかもできるらしいけどイマイチ使い方がわからない。(笑)
ま、エクセルと同等のグラフ作成機能があるなら、もうエクセル使う必要はないですな。のちのちのデータ加工を楽にするものとしてエクセルと置き換えるといいかもしれない。 SQLの大きなデータでもすぐグラフ化できるはずなので、分析ツールとしては非常に便利だろう。
5.iOSデバイスとの連携が強化
上で説明したテーマにiOS用のものがあったり、レイアウト時にiOSデバイス用のガイドなども使えるようになり、加工が楽になっている。関数にも位置情報を使った関数などが使え、スクリプトも対応した。
実はiOS版が無料になったのは半分は苦肉の策なのかもとか思ってたり(11でGoを買った人にさらに12用を買えっていうのは心苦しい)するんだが、もう半分はGoを無料で配ることでProを売りたい(つまりiPadのハロー効果)ということらしい。実際、iPadで使える自社用ビジネスアプリを作ろうと思ったら数十万〜数百万をかけて作る必要があるし、運用コストも大きくなる。FileMakerを使えば既存のDBをそのままiPadで扱える環境を社内で構築できる。結果、コストはかなり削減できるだろう。
とまぁ、FileMaker Pro 12の新機能をかいつまんで紹介したわけだが、とにかくFileMakerのポイントは「DBデベロッパーでなくてもDBを扱える」ということだ。会社の一部署で売上データの一部を業務DBから引っ張って分析したいときや、その部署でしか使わないDBなのに業務DBに追加すると数百万単位でかかる加工費を抑えたいときなど、昨今の経費削減を実現できるツールとしては非常に有効だ。WindowsでもMacでもiOSデバイスでも扱えるマルチプラットフォームなので機器の入れ替えもしなくて済む。
もちろん個人で使っているエクセルデータをより動的なDBにしたいときなどにも活用できる。もうここまで来ると、エクセルなんて使ってる時代じゃないぞ。w
ここまで読んで興味が出た人は、30日使える12の無料評価版がFileMaker社のサイトにアップされているのでダウンロードして試してみよう。最初は何やっていいかわからないという人にもテンプレートが用意されている。
とりあえず今回はここまで。次回(あるのか?)、もう少し突っ込んで実際にエクセルデータをFileMaker DBにするまでの工程をサンプルデータを使って作ってみよう。
宣伝:私、FileMaker DBの構築も一応やってます。w 興味のある方、あるいは中小企業様はぜひご連絡ください。エクセルデータのDB化、FileMaker導入のアドバイスなどさせていただきます。