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アップルは表現の自由に踏み込むのか

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si2010.jpgここ数日でアップルが水着やちょっときわどいアプリを削除してるそーで、なんかiPadを前にいったい何やってんだ?と思ってしまう。

以前から言われてたApp Storeの問題点は、「許可基準がはっきりしない」こと。今回のこの問題はそれをさらに助長する形になっている。削除されたアプリが大量に……5000本以上?ある割に、未だ削除されてないアプリがある。例えば画像のSports Illustratedはビキニ画像が満載なのに消えてない。でも小倉優子は消えたり消えなかったり。この基準はいったいどこから来るんだ?

iPhoneにはちゃんとratedを指定できるページがある。このページで指定し、アプリにもrate指定を厳しく課し、さらにちゃんと「グラビア」カテゴリを作れば、問題のあるものを子供に見せることはできなくなるじゃないか。そもそも、Safariを使えばどこにだって繋がる。それはつまりどんなに問題のあるページだろうと見ることができるということだ。
最初から大きな漏れ口のあるバケツの、よく見える亀裂だけを塞いで取り繕ったとしてそれに何の意味があるのか。これは逆にどーしようもない結果ー多くの一般ユーザーの不利益と不信に繋がると言わないだろうか。

そして心配になるのは今後、これらの施策はiBooksにも及ぶのかということだ。出版物に関しては、「言論の自由」や「表現の自由」が認められている。日本は実はわいせつ表現はそれなりに規制されている(でもそれは日本らしさでもあるし、日本のこれらに対する妄想力の根源は実はここにあると思ってたりする)が、これらの自由はやはり保証されるべきものであり、恣意的に何者かによって規制されるべきものではない。スティーブン・キングの小説で人が生きたまま食い殺されたら規制するのか。ハーレクインロマンスのワンシーンが過激な性描写だったら規制するのか。取捨選択はあくまでも受け取る側に任されるべきであり、提供する側が行うことではないはずだ。

そしてそれらの規制は日本の漫画を世界に出すときに必ず問題になる。日本の漫画の一部はグロテスクだったり、猥雑だったり暴力的だったりする。これらも含めて表現だが、果たしてアップルは口出しをするのだろうか。だとすれば21社連合以上に大きな壁は、アップルということになる。

という話を今回、野間先生のコメントもいただいて東京IT新聞に書きました。(笑)よろしければお読みください。
#野間先生、あざーっす!

【追記】
コメント欄で「表現の自由の侵害ではなくセレクト。表現の自由は言い過ぎ」との指摘を受けました。確かにそう考えればそうですね。アップルが提供しているのはそれらのものを閲覧する手段のひとつに過ぎないし、そーいうものが見たければアップル以外の道を選べばいい。

ただ個人的にはやはりiPhone/iPadという環境を便利に利用したいし、そのためにはいろいろなものが使えて欲しい。電子書籍による出版業をiBooksで目指すなら、やはり表現者の自由を守る立場であって欲しいとも思います。

あー、なるほど。つまりアップルの立場が「こちら側」に寄り添っていないように見えるのがヤなんですね、きっと。規制する側=体制側という見方をしてしまう自分の問題なのかもしれません。

Written by ei

2月 23rd, 2010 at 12:21 pm

Posted in Apple,iPhone

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8 Responses to 'アップルは表現の自由に踏み込むのか'

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  1. 表現の自由というのは、関係無いですね。
    アップルが法に手を回して、それらを違法化しようとしているのなら話は別ですが。
    どんなショップでも(オンラインでも、リアルでも)、自社の考えに合った商品ラインナップにするのは、特に珍しいことではないのに、何故騒いでいるのかが分からないです。

    「多くの一般ユーザーの不利益」というのはむしろ逆で、そういったコンテンツの売上が無くなるのだから、アップルの不利益の方が大きいでしょう。それでも尚そうしようとするのは、アップルの自由ですね。

    「取捨選択はあくまでも受け取る側に任されるべき」なのだから、性的表現を嫌うアップルのサービスを使うか使わないかも、ユーザーが決めれば良いのでは? そういったコンテンツが欲しければ、いくらでも別の選択肢がありますよ。

    bt

    23 2月 10 at 18:53:20

  2. なるほど、確かにそうですね。そこまで踏み込んではいないか。我々はiPhone/iPadがインフラであることを期待するから、その部分を外されることを問題視するけれど、そーいうものが見たい人は他に行けということは言えるかもしれません。
    しかしそれでもSafariで見れるのに……という、なんというかマヌケな部分には違和感を感じてしまいます。その規制って意味ないんじゃないの?と。

    ei

    23 2月 10 at 19:54:02

  3. 自分も表現の自由に云々は言い過ぎかと。
    つまり、「成人向けの本を子供が目につく場所におくのはどうなんでしょう」というのと「成人向けの本を作ってはいけません」は全く違いますよね。
    そういうのと同じだと思うんです。

    ただ、最近の社会の風潮は既に後者ですし、もし表現の自由の侵害について危機感を持たれているのでしたら、是非
    都の「青少年の健全な育成」に関する条例を見て下さい。憲法なんてクソ食らえ!という勢いで規制していますよ。
    更に、日本では今年4月より青少年保護のフィルタリング機能を有していないインターネット閲覧端末は販売出来なくなってしまいます。
    これってよく考えると、非常に緩い検閲ですよね。
    むしろ、そちらに目を向けて頂ければと思います。

    最後に、自分も正直言うと「Appの即削除はやりすぎ」だと思いますが、どんどんエスカレートしているのは感じていましたし、
    インパクトのある方法でブレーキを掛けないと駄目なのかな。とも思いました。
    Appがセクシーなコンテンツばかりになるのはもちろん不健全ですが、セクシーなコンテンツが一切見られないのはそれはそれで不健全ですよね。
    自分たちが生まれてきた理由を否定する社会ってのも、異常だなと感じます。

    不健全な大人

    23 2月 10 at 20:51:01

  4. btさんに1024票^^ Appleは思うがままコントロールしたいからオープンにしないの。

    Tomo

    23 2月 10 at 20:51:34

  5. >不健全な大人さま
    制限する方法はすでにある(rate指定してダウンロード禁止/閲覧禁止が可能)のに、それをせず削除というのに恣意的なものを感じざるを得ないんですよねぇ。それとも現行のアプリでそれをするのは不可能なんでしょうか。

    青少年の健全な育成のためにという理由で見せないというのもある意味不健康だと感じます。だって誰もが通る道であり、汚いもの(この言い方にも語弊を感じますが)には蓋をしておくことはできないわけですし。どんなに規制しようと結局見ようとすれば見えてしまうわけですからねぇ。
    変な規制をして歪んだ性観念を植え付けるより、もっと正しい性知識を身に着けさせるべきだと思います。それをせず隠してしまうことで、返って間違った人間性を育んでいないかと。
    #子供を持っていないから言えるのかもしれませんが

    >Tomoさま
    なるほど、ビッグブラザーに自らなりたいとそーいうわけですね>アップル。(笑) ん〜、やっぱりなんか、違和感。

    ei

    23 2月 10 at 21:10:52

  6. これは表現の自由で良いと思いますよ。
    気に入らなければお店に置かない。これはセレクト。
    しかし、お店に置かれなければiPhone、Touchにインストール出来ないです。
    Mac売り場にWindowsを置かないって事は出来ないでしょう。
    出来るけれどやらないだけです。
    けれど、アップストアは違います。
    そこに置かれなければダウンロードしてもらえません。
    iPhone、Touchにインストールしてもらえません。

    つまり、iPhone、Touchにインストールしてもらう為には、作者が表現方法を変えなくてはならないのです。

    こんにちは。

    23 2月 10 at 22:57:01

  7. いろいろ議論はあるかとおもいます、アプリ開発、審査を受けてきた人間として感じたこと。
    「アップルストアに基準なんてあるんだろうか?」
    アプリによって通ったり通らなかったりというよりは、担当者によってあっさり通ったり通らなかったりするんです。
    で、こちらが担当者変えをお願いしてもダメ。
    いま関わってるアプリは、35万ダウンロードを超えたmust haveになってしまったアプリですが、一回目はあっさり通ったのに、バージョンアップでもうそりゃすごい回数の差し戻しです。しかも、ダメなところを一気にいってくれればいいのに、修正する度に次はこれがだめ、次はこれがだめといわれ非効率この上ありません。生意気なこといって担当者の気分を悪くしたら通るものも通らなくなります。
    このアップルの横柄な姿勢はアプリ制作者の中では有名ですが、こちらがどんな零細企業だろうが、大企業だろうが、それは関係ないようです。審査のメールのやりとりは、もちあげたりほめたおしたり、謙遜したりすることが大事でそれで担当者の心象が変わり通過したりします。アップルがなんといおうとこれは事実です。いいアプリだからどんどん流通させようという考えはなく、基本的に性悪説にのっとって審査されますので、みんなアプリ開発者はアンドロイドへ流出してるようです。
    僕の携わったアプリは3本ほどアップルストアにのってますが、仕事じゃなければ正直やりたくないです。無料アプリだし。

    話はずれましたけど、そういう、大して基準のないまま、ざっくりした方針のもと削除も行われてるんじゃないかな、と経験的に憶測してしまいます。

    kaji

    24 2月 10 at 11:21:21

  8. >こんにちは。さま
    アップルそのものがセレクトショップということなんでしょうね。我々iPhoneユーザーにとっては全てがそこで供給されて欲しいけど、彼らにとってはセレクトして何ら問題のないことという。
    ま。Explicitカテゴリを作るという話になりつつあるようなので、それはそれでいいんじゃないかと。

    >kajiさま
    どーもです。(^-^)/
    App Storeの基準がはっきりしない点はやはりいろいろな意味で改める必要ありますねぇ。でないとこれが原因でAndroidやWindows 7 Phoneへ流出していく可能性もある。基準を公開してそれに準拠してもらわないと、作ってる方は納得できないですよね。

    ei

    26 2月 10 at 23:51:04

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