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Archive for 1月 29th, 2010

iPadの正体と幾つかの足りないモノ

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iPad、一晩経ってあちこちの意見を聞いて、iPadは売れるのか売れないのかを考えていたりする。昨日の報道では「Kindle対抗」とか「電子書籍の覇権が……」とかいう文脈が多かったようだが、それらはiPadの真の姿を見ていない。なぜならこれは正しいIT家電の最初の姿だからだ。今のIT社会に必要なものを基本機能で全て持っていて、アプリも豊富で価格も安く、使い方を教わらなくても利用可能なもの。そう、これは家電品となったPCの姿であり、今後のライフスタイルの基本になるものだ。PCユーザーではなく、それ以外の全ての人たちのためのデバイス。それこそがiPadなのだ。

そんなiPadにも足りないモノがいくつかある。個人的な願望も含めて書いてみよう。

1.ストレージ
16GBからあるiPad。16GB?今や俺の自宅環境は4TB程度もあるというのに、16GB?それどーなの?という声はきっとあるはずだ。しかし16GBという最低容量から見えてくるのは、iPadはどこかに必ずストレージ環境を整備してくるに違いないということだ。しかもそれを意識しないで使えること。家電品という観点から考えれば、それをセットアップするために「あれやって、これやって……」などといくつもの手順を考えるというのは論外。ということはサインアップ一つで使えるストレージ環境がどこかに用意されている……ああ、これがクラウドかっ!w つまりここにアップルのデータセンターが出てきて、MobileMe拡張に繋がってくるということなのだろう。

システムに関わる部分ということであれば、この機能はWWDCあたり、iPhone OS 4.0へのバージョンアップと共に示されるのではないだろうかと予想できる。

2.マルチタスク環境
今回の発表で唯一残念に思ったのはこれ。iPhoneにはマルチタスクはいらないと思う。しかしiPadには必要なんじゃなかろうか。
例えば学校で。教科書とノートをiPadで使っている環境を想定してみればいい。教科書を開いて講義を受けていて、黒板にかかれた部分はノートに取りたい……というときに、いちいち教科書を「閉じて」ノートを「開く」、また教科書を読むときにはノートを「閉じて」教科書を「開く」というのは実際的じゃない。この部分だけでもマルチタスクは実現すべきだ。

UI的には非常に簡単だ。画面を4本指でスワイプしたら画面ごと切り替わればいい。Mac OS XでいうSpacesの感覚。タスクもたくさんなくていい。最高で4つとかに限定してもいい。これなら教科書とノートをいったりきたりできる。iPadに高機能はいらないが、必要最低限の機能だと思う。これもシステムに関わる部分なので、4.0で実装かもしれない。

3.縦書き表示ビューアとIM
日本でiBooksを提供するならぜひ備えて欲しいのは縦書き表示のブックビューア。これはiPhoneで電子書籍を読んだ経験から言えることだが、日本語はやはり縦書きの方が遙かに読みやすい言語だ。一部の技術書や雑誌などはいいだろう。しかし小説はやはり縦で読みたいし、ルビも振られて欲しい。以前紹介したiPhone用縦書き電子ブックリーダー「i文庫」が使えるが、これがiPad用の表示域に対応してくれるならそれでもいいのかもしれない。

日本語環境という点でもうひとつ期待したいのはIMの実装だ。iPhoneの予測辞書はそれなりに賢いが、やはりフル機能の日本語入力システムには敵わない。ATOKやかわせみが搭載されれば、日本語環境としてかなり快適になることは間違いない。ATOKはiPhone用を開発中という記事があったし、かわせみも載せられる可能性が指摘されている。

4.FileMaker Proクライアント
これは個人的に仕事に使いたいのでぜひ作って欲しい機能。なので家電という部分からは少し外れてしまうかもしれない。(^-^; Bentoでもいいんだけど、これから学校や病院、その他企業で使われたいなら、FileMakerのクライアント機能だけでも持って欲しいと思うのはDBコンストラクターの願望だ。加工する機能はいらないので、ネットワークでサーバと繋がってデータ閲覧と簡単なデータ追加だけができればいい。iWorkが動くなら、作れないことはないはずだ。これがあればFileMakerによる電子カルテの環境は一気に普及が進む。

Bentoならより家電的な使い方ができるだろう。こちらはフル機能が欲しいところ。家電というからには単体で完結して欲しい。
#XMLに書き出してSafariで見るという使い方ができるかも?カスタムWeb、いよいよ勉強必須か?

5.コンテンツ利用環境
実はこれは日本という特殊環境に限ってだが、映像系の配信がほぼ皆無という現状はいただけない。米iTunesストアでは「24 Season 8」がもう配信されている。「LOST」のファイナルシーズンももう買える。なのに日本はどうだ?この環境が整えば、日本でiPadは大ヒットするし、ドラマ単体で「売れる文化」を作ればTV局も潤うじゃないか。DVDシリーズで出したい?そのときになったらストアから引っ込めればいい。DVDからRipしてコンテンツを「作ってる」状態がもし著作権的に違法だというなら、それを提供する環境を作らないあなたたちも悪い、と声を大にして言いたい。売れよ。そーすれば買うからさ。
同じ理由でおそらくiBookストアも開始されない。コンテンツ大国でネットワーク大国なはずの日本は、著作権後進国だ。既得権益を守ることだけを考えて、ユーザーの利便を考えてない。こんなことでいいはずがない。

iPadはパーソナルコンピュータではなく家電だ、と考えれば今回のデバイスがなんと魅力的に見えてくることか。iPadがつまらないと思ってるあなたもぜひ違う確度からiPadを見てみよう。そこには明るい未来がある。

Written by ei

1月 29th, 2010 at 3:42 am

Posted in Apple

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