若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

リバー・ランズ・スルー・イット

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原題:”A River Runs Through It”(1992)

HDDレコーダーに溜まった名作をやっつけるシリーズの3。なんといっても美しいブラッド・ピットが最大の魅力。

20世紀初頭のモンタナ州ミズーラ。牧師の家庭に生まれた二人の兄弟がいた。兄のノーマンは真面目で秀才、しかし不器用で奥手なところがある。対するポールは天才肌で何をやっても器用にこなし、陽気で闊達。二人は厳格な父に勉強とフライフィッシングを教わった。成長した兄弟はそれぞれ大学へ行き、兄は教職を探し、弟は地元の新聞社で記者になった。街でも有名になった弟の派手な生き方に不安を覚えながらも見守る兄は、いつしか恋に落ち、職を得る……。

兄弟の関係というのは実に微妙なものだ。うちは三人兄弟で、一番上に姉がいて、俺が長男で末っ子で次男の弟という構成。誰も頭が上がらない、成績優秀で強い姉。スポーツ万能で要領も良く、(小さい頃は)とても可愛らしい弟の間で、俺は生真面目で小心者で、小さい頃から身体を動かすよりも読書や映画を見るのが好きな奥手な子だった。優れたものを見ることのコンプレックスはある程度自我を確立し、自分に自信が持てるようになるまでは持っていたし、今でも敵わないなぁと思う面がある。そう、兄弟の間にはライバル心があって、表には出てこなくても常に相手のことを意識しているものなのだ。

この映画に出てくるノーマンとポールを見ながら、「ああ、うちもこんな感じだったなぁ」と思う。何事にも慎重な俺に対して無鉄砲な弟。球技は何をしても敵わないし、勉強だって勝ててるとは思えない。時には反発もするし、どーしようもない奴だなぁと思うけど、会うと普通に楽しく話せるし、思考の方向は同じだと感じる。家族というのは何も言わなくても、お互いが通じ合えるところが確かにある。

この映画では大きな事件は(画面上では)ほぼ起こらぬまま、それでも家族が人生を生きていく。そしてその人生の中で、川は常にそこにあるべき姿で流れ続ける。人生とはそんな、止まらない川の流れのようなものなんだと感じさせてくれる。

主演は物語の語り部でもあるノーマンのクレイグ・シェイファーなんだけど、それだけに彼の目が見た弟 ブラッド・ピットの素晴らしさが目立つ。川の中でフライを投げる姿、陽の光を浴びて立つ彼の姿はまさに「美しい」。「インタビュー・ウィズ・バンパイア」は94年、「セブン」は95年なので、やはりこの作品が出世作と言えますな。厳格な父にはトム・スケリット。そして幼いノーマン役にはなんとジョゼフ・ゴードン=レヴィットが!ほぼこれがデビュー作と言えそう。
監督はロバート・レッドフォード。

美しいフライフィッシングシーンが一番の見どころ。自然と一体化した、完成された美しさの中にいる一人の青年の姿は、彼のスター性が一気に花開いた瞬間と言えるかもしれない。

Written by ei

2月 21st, 2017 at 10:00 am

Posted in Movies,TV

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