若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

繕い裁つ人

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公式サイト (2015)

夜会のシーンはちょっと怖い……って思うのは俺だけ?あれは隔世だよね、ある意味。

神戸で洋裁店を営む南市江は、先代の仕立てた服の仕立て直しをしたり、先代のデザインを使った洋服を少しアレンジしたものをほんの少しだけ作って暮らしていた。市江の服を気に入った藤井は、ブランド化して販売したいと考え、足繁く市江の元に通う。しかし市江は頑なにそれを拒んでいた。

ずっと着ていられる一点ものの洋服というのは確かに大事に着たいと思うだろう。その気持ちは否定しない。でもこの映画の中の服は亡くなってしまった先代の「呪縛」であり、年に一度開かれる「夜会」は現世ではなくあの世の出来事のようでとても怖くなる。そこにあるものはいずれ朽ちてしまうものであり、市江はそこで共に朽ちて行くのかと。

しかし彼女はそれに気付き、未来を作ることを選ぶ。先代の仕事部屋を模様替えし、新しいものを作り始める。ラストシーン、それまで着ていた仕事着を脱ぎ去って、陽の光を浴びて作業する彼女の横顔はとても活き活きとして美しい。そう、まだまだ彼女は未来を作り出せるのだ。

主演は中谷美紀。素顔はちょっと抜けてて、気分転換にホールのチーズケーキを食べる、それでも仕事中の顔はまるで聖職者のよーな二面性はよく似合う。洋服のことが大好きなデバートの外商 藤井には三浦貴大。どちらにも似てないよねぇ。他には片桐はいり、黒木華、中尾エミ、伊武雅人、そして余貴美子。
監督は「しあわせのパン」の三島有紀子。こっちの話の方が筋立てがはっきりしてきてました。原作は漫画なんですな。

舞台が神戸なのに皆標準語ってのもちょっと気にはなったんだけど、まぁそれを言えば「しあわせのパン」も標準語だったし。そこは突っ込むべきところじゃないのかもしれません。おしゃれな洋服やデザインが好きな人には楽しめる映画です。

Written by ei

2月 6th, 2017 at 9:34 am

Posted in Movies,TV

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