君の名は。
新海誠らしい細かな描き込みとSFファンタジーなストーリー。良質のジュブナイルー今はラノベっていう方がいいのか？ーを読んだ気分。
東京に住む高校生の瀧は、ある朝目覚めると自分が女子高生になっているのに気がついた。夢かと思っていたその出来事はどうやら現実で、自分が女子高生ー三葉になっている間は中身が入れ替わっているらしい。どうしてこんなことが起こっているかわからないまま、二人はお互いの生活を壊さないようにとスマートフォンに入れ替わっている間の行動を記録するようになる。しかしある日を境に、三葉との入れ替わりは起こらなくなってしまう。
毎夏、ジブリとか細田守とかで中高〜一般向けアニメを狙っていた東宝が新たに目をつけたのが新海誠。彼のことを知ったのはやはり「ほしのこえ」。当時Power Mac G4とPhotoshopなんかを使ってほぼ一人で製作したことで有名になったアレですね。その成り立ちからどちらかというと私小説的な作品を作る人というイメージがあったけど、今作は東宝の全面バックアップで声優陣にも神木隆之介や長澤まさみを起用したり、主題歌に流行りのロックバンドを使ったりと「売れるアニメ」を作ってきた印象。
でもそれがダメかといえばそーではなくて、緻密な作品作りは相変わらず。東京と岐阜県飛騨市の風景が細かく描き込まれているし、SF的にもわかりやすくて面白い。まーちょっと、主人公同士の恋愛感情が育まれる部分は弱い気がしたけど、ちゃんと期待に応える出来のものを作ってきたなーと。公開3日で早くも10億超えという成績は立派。これなら細田ー新海（ーときどきジブリ）というラインで今後のYA向けアニメを背負っていけそうだ。
個人的には主題歌を歌うロックバンド「RADWIMPS」の曲の音が大きすぎる感じはしたけど、まぁ監督ご指名ってことだそーなので。いずれにしろ今年の夏に観るべきアニメはこれってことでいいかと。