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ニュースの真相

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原題:”Truth

俗に言う「ラザーゲート事件」を時系列でまとめたお話。ブッシュ元大統領に軍歴詐称があったかどーかは未だ闇の中。

時は2004年、アメリカは大統領選の真っ只中。ブッシュとケリーの間で接戦が繰り広げられていた。その中で問題になったのは両候補の「軍歴」。アメリカ三大ネットワークの一つ、CBSはブッシュ大統領が州兵時代に軍から無許可離隊をしていたのではないかという疑惑を追い、その証拠となる文書を入手。取材の末ドキュメンタリー枠の「60 Minutes」で放映し、大反響を得る。しかしその文書はMS Wordのデフォルトで入力したものを15回ほどコピーを繰り返せば作れる偽造文書だというブログ記事が公開され、取材チームは窮地に陥ることになる。

真実は闇の中とはいえ、ブッシュは実際にベトナムに行くことはなかったし(決して成績が良くなかったにもかかわらず)、それはやはり父の政治的な地位によるものだったことは紛れもない事実だろう。ま、ブッシュはあの911時の大統領でネオコンの走狗、終わりのないテロリストとの戦争を始めた人として二期目が危ぶまれていた(実際、選挙においては不正投票疑惑まで出た)し、この問題が真実であったなら終わっていたかもしれない。そんなタイムリーな時期に出てきた偽文書は、やはりどこかの工作の一部だった可能性は否定できない。俺はこの大統領選のときに軍歴詐称までは聞いた記憶があるが、それがこんな形で否定されていたことは知らなかった。あー10年前か、辛い時期だったなぁ(遠い目)。

そしてこの映画のポイントは、マスコミの人間は慎重の上にも慎重を期して「ソースに当たれ」ということなのだと。実際は違うけど(笑)、まぁ一応出版に関わってる俺たちに関して言えばそれこそが一番のポイントですよ。世紀の大誤報を起こしてしまった理由は結局、完全な「ソース」(ここで言えば元の文書)に当たれなかった点にある。「真実を隠すには99の真実の中に1の嘘を混ぜるだけでいい」とはよく言ったもので、軍歴詐称もそんな文書があったことも事実だったとしてもそれが偽造だったという1点だけで全ての真実は嘘になる。それを怠ったという1点でやはりこの事件は責められるべきものであり、マスコミの失墜を起こしてしまったという点でも大きな問題だと言えるかもしれない。

主演はケイト・ブランシェット。強い強いイメージの彼女、この映画でもやはり強いキャラクターです。ダン・ラザーにはロバート・レットフォード。他にはデニス・クエイドやトファー・グレースなど。
監督はジェームズ・ヴァンダービルト。「アメイジング・スパイダーマン」なんかを書いてた脚本家の監督デビュー作です。

ただ一つの事件をこれだけの時間と労力を割いて取材できる体制は素晴らしいなと思う。日本のように、どこかの通信社が持ってきたニュースをそのまま流すなんていうシステムはとっとと滅びるべきだが、これもまた予算とかそーいう問題も含めて無理なんだろうな。だからマスコミは「ゴミ」になっていき、信頼度が低下していくということに気付いているのだろうかね。

Written by ei

8月 28th, 2016 at 12:44 am

Posted in Movies,Roadshow

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