若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

百日草

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原題:”百日告別”(TIFFサイト)

東京国際映画祭、もう一本の台湾映画は台北映画祭 2015のクロージング上映作品。愛する人と事故で突然死に別れた男女が百か日法要を通してようやく現実を受け入れていくお話。

高速道路の多重事故で婚約者を失ったミンと妊娠中の妻を失ったユーウェイ。何も分からぬまま葬儀が終わり、その後は寺に通って初七日から百日まで読経して供養を続ける。供養の間、ミンはハネムーンで行くはずだった沖縄に行ったり、二人で住むはずのマンションで自殺を計ったり。ユーウェイもピアノ教師の妻の教え子たちに月謝を返して回ったりしながら少しずつ現実を受け入れていく。

主人公の二人がお寺で読経して供養をするとき以外は交わらない(お互いに自分の生活を見つめて自分の答えを出していく)様が俗っぽくなくて、とてもいい映画。日本だと死に別れた二人が出会って手を取り合って次の人生へーってなりそうだけど、実際にはそんなことはほとんど起こらないわけで。この映画の主人公たちはおそらく同じ事故でパートナーを亡くしたことさえ知らない。それぞれが別の方法で相手の死を受け入れ、乗り越えていく過程が描かれていく。そこには男女の違いがあり、環境の違いもあり……。

途中の沖縄旅行は結婚してレストランを開こうとしていたミンの婚約者が企画したグルメツアーで、いろいろと有名なお店も出てきて楽しい。そして首里城の裏の坂を登っていく沖縄方言で日本人にさえ字幕がいるよーなおばぁの印象的なシーン(要は誰にもそのまま伝わってないw)は、言葉の壁を越えて誰かを想っていることがわかる。

主演は林嘉欣と五月天の石頭こと石錦航。他に「KANO」で監督デビューした馬志翔や柯佳嬿も。アリス・クーと当たること多いなぁ、俺。
脚本・監督は「九月に降る風」の林書宇(トム・リン)。実際に最愛の妻を失ったあと、107日目からこの映画の脚本にとりかかったそーで、それでこの映画はこんなに現実味があるんだなぁと。

仏教的な世界観とか生と死とか男女の違いとか、いろいろなことが感じられるとてもいい映画です。

Written by ei

10月 31st, 2015 at 2:33 pm

Posted in Movies,Roadshow

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