若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

危険なプロット

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原題:”Dans la maison”(2012)

こーいう感覚、わかるー。ま、きっと人間誰でも持ってる感覚なんだろうなーと思う反面、”Curiosity killed the cat”とも言われるよなーと。

フランス語(国語)教師のジェルマンは、毎年酷くなる生徒の作文に頭を抱えていた。その中でただ1人、他の子たちとは違う読ませるものを書いてきたクロード。人の良い同級生のラファに数学を教えるふりをしながら、彼の幸せそのものの家族の中に入り込んでいく。しかも彼の週末の体験は「続く」と綴られていた。他人の家を覗き見るようなその文章にジェルマンは惹かれ、クロードに小説の書き方を教える形で続きを読むことになる。しかしその内容は徐々に現実と虚構が入り交じる危ない方向へと進んでいく……。

このお話は、ある生徒が実体験として書き綴る友達の家族の話を読む男の話。クロードの書く世界のどこまでが現実でどこからが虚構なのか、それは読む(見る)人と関わった人にしかわからない。ジェルマンは常にその世界の外にいる読者だったはずなのに、最後に当事者になってしまい、彼の人生のすべてが崩壊する。仕事を、妻を、あらゆるものを失った彼は、それでもクロードの描き出す生活に惹かれて、浮浪者のような身なりで今日もアパートの窓を見つめるのだ……。

広島に帰省して戻ってくる新幹線から東京のマンションの窓の中の生活を見るのが好きだった。そこには窓の数だけ生活があり、自分が関わらない世界がある。ある人はPCに向かって仕事をしている。ある家族は食卓を囲んで食事をしている。それらは新幹線の窓からというほんの一瞬しか垣間見えない場所だけど、そこには確かに生活がある。窓の数だけある人々の生活とそれに関するストーリー。それは興味を持たずにはいられない場所だ。まぁこのお話ほど極端でないにしろ、人には誰だってそんな下世話な好奇心がある。気をつけないと。

フランス映画なのでキャストももちろんフランス人(当たり前)。ジェルマンにはフェブリス・ルキーニ。クロード役のエルンスト・ウンハウアーはもっと人気が出てもよさそーな顔立ちなんだがなー。
監督はフランソワ・オゾン。

ハリウッド映画じゃないというのは派手な演出もなくてそれはそれで面白いなぁと。ストーリー重視って感じもするし(いかに普段フランス映画を見ていないかという……結構苦手だったりするのよね)。

Written by ei

10月 31st, 2014 at 12:38 am

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