ファーナス 訣別の朝
原題：”Out of the Furnace”
たったひとつのボタンの掛け違いが、大きく人生を狂わせるという、誰も幸せにならない悲しいお話。「ファーナス」は溶鉱炉の意味らしい。
不況の波が押し寄せる小さな街で、製鉄所でまじめに働き、家族を愛し、恋人と将来を語り、小さな幸せを掴もうとしていたラッセル。しかしある日の夜、人気のない道で交通事故を起こしてしまったことから、彼の人生は一転する。たまたま飲んでいたウィスキーで飲酒運転になり、乗っていた子供が亡くなってしまったことで刑務所に。恋人は離れていき、寝たきりだった父の死に目にも会えず、弟のロドニーはイラク戦争後のPTSDで苦しむ……。出所後、元通りの暮らしを送ろうとしたラッセルだったが、ロドニーは八百長のボクシング賭博に関わり、自分自身を痛めつけていた……。
あのときこうしとけばとか、あれをしなければ良かったなんてのは誰にでもあることで、でもそれによってここまで人生が変わってしまうと、それはあまりにも悲しい。しかも普段、酒場ではビールしか飲まないまじめな男が、たまたま勧められたウィスキーを飲んだあと、ほとんど交通量のない、しかも民家からバックで出てくる車にぶつかったのであれば、それは不運としか言いようがない。
しかしどんな状況でも、結局自分で選んで前に進んでいかなきゃいけない。それが最悪の選択であっても、進まなきゃいけない。主人公はどの局面においても逃げずに立ち向かい、前に進んでいく。その姿は確かに強い。芯の通った男の生き様と言えばそうなのかもしれない……たとえそれが誤った道だとしても。
主演はいつものように体型がまったく違うクリスチャン・ベール。「アメリカン・ハッスル」は同年公開の映画なのになんでここまで体型が違うのか。（笑）さすがにこの映画では彼の主演の座を脅かす存在はいなかった模様。ｗ とはいえ共演陣はなかなかの顔ぶれで、弟のロドニーにはケイシー・アフレック。恋人レナにはゾーイ・サルダナ。やっと普通の顔が見れた。（マテ 他にもウィレム・デフォー、フォレスト・ウィテカー、ウディ・ハレルソン、サム・シェパードと豪華な顔ぶれ。
監督はスコット・クーパー。次回作はジョニデとベネちゃんを期用したクライム・アクション”Black Mass” が来年公開予定。
我々一般人的には「飲酒運転は絶対やめようね」という話でいいんじゃないかと思うんだけどさ。魔が差したとはいえ、結局原因はそれだから。