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Runnin' Wild

ヒューゴの不思議な発明

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原題:”Hugo

まさかジョルジュ・メリエスの話だとは思いもせず。しかもファンタジーというよりはヒューマンドラマ。確かに映画に対する愛に溢れる作品である。

時計職人の息子として生まれたヒューゴ。しかし父は博物館の火事で還らぬ人となり、ヒューゴは叔父に連れられてパリのリヨン駅へ。駅中の時計のネジを巻き、 時計が遅れないように整備して回る仕事をすることになる。誰にも知られぬままヒューゴは時計台で隠れて暮らしていた。父が残した不思議な自動人形と共に。この人形を直すことができれば、父からのメッセージを受け取ることができる……。ヒューゴはそう信じて、部品を探しては自動人形の修理に精を出していた。

ファンタジー色が強調されてはいるものの、それは夢の中のことだったりして、実際のストーリーは現実世界に根ざした一人の男の子の家族再生の物語。そしてもう一つのテーマがセンスオブワンダーに満ちあふれた映画に回帰せよ、という現代の映画に対するメッセージだったりする。

家族を失ってひとりぼっちのヒューゴと、映画の始祖、SFXの始祖と謳われながら、戦争という現実に夢の世界を追われたジョルジュ・メリエス。苦悩に満ちた二人の人生を結ぶのが、動かなくなった自動人形。ヒューゴはそれを直してもう一度家族に出会う。メリエスもまたかつて自らが作った自動人形によってもう一度、夢の世界に戻ることを許される。喪失と再生こそこの映画のテーマだ。

ジョルジュ・メリエスと言えば、有名なのはあの「月世界旅行」。月に大砲の砲弾が突き刺さるシーンは誰もが一度は見たことがあるはずだ。東京ファンタ参加者なら、1989年(もう20年以上経つのか、あれから)のジョルジュ・メリエス第回顧展を見た人もいるかもしれない。100年以上前にあのイマジネーションを持っていた男。きっと今の世界にいれば、たぐいまれな才能を発揮できただろう。この映画はその異能の人へのオマージュでもある。

主人公、ヒューゴにはエイサ・バターフィールド。うお、次回作が”Ender’s Game“だわ。そしてヒューゴと出会う少女イザベルにクロエ・グレース・モリッツ。まだ「キックアス」続編の企画は上がってきていないよーで。年齢行き過ぎちゃうと面白くない気がするけどなー。ジョルジュ・メリエスにはベン・キングスレー。メリエスの写真にとてもよく似たイメージ。他にはクリストファー・リーやジュード・ロウも出てました。
監督はマーティン・スコセッシ。「スコセッシの3Dが素晴らしい」と言われていたのに時間が合わなくて2Dで観たのがちょっと残念。

人によって感じる部分が違うこの映画。子供たちは素直に夢の世界にわくわくするだろうし、大人は忘れてしまった想い出に浸る。そして年老いた人たちも昔のことを思い出し、自分は忘れられていないと感じられる。全ての年代の人が観られるドラマです。

Written by ei

3月 19th, 2012 at 1:00 am

Posted in Movies,Roadshow

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