おくりびと
ある意味様式美の世界はたいへん日本人らしい。いろいろと思うところもありつつも、生と死をテーマにうまくまとめた秀作。
ようやく就任したあるオーケストラのチェリストの仕事だったが、人気のないオーケストラは解散。大悟に残ったのはローンを組んで買った1,800万のチェロと愛する妻 美香、そして母の残した山形の家。仕事がなくなった大悟は山形に戻り、母の家に住み始める。ある日目に止まった求人広告、「安らかな旅のお手伝い」。ツアーコンダクターか何かだろうと考えて求人先 NKエージェントを訪ねた大悟は、なんと「納棺師」の仕事に就くことになるが……。
実際にある仕事である納棺師の世界を描いたこの映画。生と死に向き合うという点では非常によくできており、それを実現したのは本木雅弘のプロとしての「納棺師」との向き合い方であるとも言える。実はそもそもこの構想を持ち込んだのももっくん自身だそうで、10数年前、旅先でそれを見、以降それに興味を持ってきたのだそうだ。確かに彼のこの映画内での納棺の儀式での立ち居振る舞いは見事で、実際の納棺協会の監修のもとみっちり練習を積んだ成果だそうな。この儀式をきっちりこなせないと、納棺師という職業そのものがフィクションになってしまい、物語に深みが生まれない。そういう点でもそれを身につけることが必須だったわけで、もっくんの努力というか、この職業にホントに興味持ってたんだなぁと。
納棺師というも我々の知らない職業がリアルに描かれたことで、それ以外の部分ー人間の生と死、生きていくなかで起こるいろいろなこと、死んでいく人の想い、それを見守る人の想い、そして生まれてくるものがリアルさを増して伝わってくる。それは人間の一生であり、人と人との繋がりこそが人生だと思わせてくれる。
自分の中で言えば、昨年亡くした祖母のこと、10数年前に亡くした祖父のことなど、今まで自分の人生に大きく関わってきた人たちのことが思い出され、自分は何もできなかったなぁと。そして自分が親不孝であることや、家族を思うことの大切さなんかも。この映画はそんな、自分に関わる全ての人のことを思い出し、自分に何ができるだろうか、もっと頑張らなきゃと思わせてくれるという点でも良い映画だと言えるだろう。30代半ば〜40代前半という年齢の人が、そろそろ人生を思うときにはいいきっかけになるかもしれない。
主演は本木雅弘。こーいうのやっぱり似合いますね。役への没頭度が高い映画ほどこの人はいい。奥さん役には広末涼子。いくつになってもいい女だなぁ。(笑)NKエージェントの社長 佐々木に山﨑努。だんだん祖父に似てくるんだよねぇ、この人。ちょっと嫌味な感じとかも含めて。他、余貴美子、吉行和子など。
監督は滝田洋二郎。「秘密」とか「バッテリー」とか。
とりあえずこれを見て、生きることと死ぬことを考えるきっかけにしてみてはどーだろう。 必ず、自分の今までの人生の中で、思い起こされる場面があるはずだ。
確かに30〜40代に響く映画だよね。胸をギュツと締め付けられる感じがなんとも。
glio
24 9月 08 at 20:43:10 edit_comment_link(__('Edit', 'sandbox'), ' ', ''); ?>
身近な人を亡くした経験がある人ほどぐっと来るからかなぁと。特に銭湯のおばちゃんのシーンではぼろぼろでした。
ei
25 9月 08 at 11:06:01 edit_comment_link(__('Edit', 'sandbox'), ' ', ''); ?>