グラン・ブルー（完全版）
原題：”Le grand bleu”(1988)
プロジェクターを買う！とは決めたものの、まだいつになるかはわからないので、HDDレコーダーに溜まってる名作をやっつけるシリーズに突入。
まずは最後に観たのは20年前かなぁ、海に魅せられた伝説のフリーダイバーの映画。やはりいつ見ても素晴らしい。
ギリシャの街のフランス人、ジャック。海で牡蠣を取る仕事をしている父とアメリカ人女性の間に生まれた彼は、海と共に過ごす少年時代を送っていたが、父は事故死。一人ぼっちになってしまう。時は流れ、20年の月日が経ち、世界フリーダイビング選手権のチャンピオン エンゾは、同じ町で育ったジャックを探していた。エンゾが唯一認めた自分と同じ世界が見れる男、ジャック。彼はその頃、アンデス山脈の山奥で氷結した湖に潜っていた。保険の調査でニューヨークからアンデスを訪れたジョアンナは、ジャックに一目惚れしてしまう。
海に魅せられ、人の世界に戻ってくる理由がない男と、人であることを止めようとしている男を愛し、この世界に繋ぎ止めたい女。ジャックにとっての家族はイルカと、彼を気にかけてくれるエンゾだけ。ジョアンナのことは愛しているけれど、結局家族にはなれないまま、彼は海に還っていく。この映画は男のロマンの話だ。女はただ、見送るしかない。
ジャックはご存知の通り、実在のフリーダイバー ジャック・マイヨールがモデル。上海生まれで佐賀県唐津市でイルカと出会った大の日本びいきだったそーで、何度も日本のテレビ番組やCMにも出てる。ジャックの記録は105m。エンゾにもモデルがいて、二人は1960〜70年代に記録合戦を繰り広げた仲。ちなみに現在のフリーダイビングはいくつかの種類に分かれていて、水面に浮いて呼吸を止めたまま時間を競うスタティック・アプネアという競技の世界記録は22分30秒！死んでるよ、それ。（笑）ザボーラという乗り物に乗って潜行、浮上するノー・リミッツという競技の世界記録は214m。すごい時代ですねぇ。
もう一つ、この映画の時代であの映像が撮れてるのは素晴らしい。水中撮影もイルカと遊び、泳ぐシーンも、CG合成という手段がない時代にあれだけできてるのが驚き。イルカが頭いいからってのもあるだろうけど、イマジネーションは技術を超えるんですな。
ジャックのジャン＝マルク・パールの浮世離れした雰囲気もさることながら、やはりこの映画で一番魅力的なのはエンゾを演じたジャン・レノ。もー愛すべきイタリア人をこれほどわかりやすく、しかも魅力的に演じた人はいない。ジョアンナのロザンナ・アークエットは誰かに似てるなーといつも思ってたんだけど、スカーレット・ジョハンソンだった。
監督はリュック・ベッソン。「最後の戦い」や「サブウェイ」で注目された彼の、やはり代表作はこれでしょう。他の映画より圧倒的に素晴らしいのは、やはり彼自身が海に魅せられた男だからか。
「ママのパスタ以外を食べると殺される！」とか家族を一番大事にするところとか、エンゾが出ているどのシーンも大好き。そして改めて見て、「ああ宮崎駿の世界って基本、イタリアなんだなー」となぜか感じた。「ルパン三世 カリオストロの城」とか「紅の豚」とか、同じ匂いがする。嘘だと思うなら、見て確かめてみよー。w