若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

ニュー・シネマ・パラダイス

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原題:”Nuovo Cinema Paradiso”(1988)

HDDレコーダーに溜まった名作をやっつけるシリーズの2はこれ。映画好きな人ならやっぱり見るべき一本でしょうねぇ。映画に対する愛が詰まった映画。

シチリア島の僻地の村で暮らすトト少年。父は戦争から未だ帰らず、母と妹の3人暮らし。村の唯一の娯楽は映画で、映画館には連日のように人が押しかけていた。トトも映画に魅せられ、映画館で映画を見るだけでなく映写室にも出入りし、そのうち映写技師のアルフレードと仲良くなり、技術を教わるようになる。ある日映画館の火事でアルフレードは火傷を負い、目が見えなくなる。トトはまだ10歳ながら新しい映画館の映写技師になる。

映画館にタバコの煙が篭っていた時代を知っているだろうか。俺が子供の頃の映画館はまだまだ防火に対する意識も希薄で、大人は皆タバコを吸いながら映画を観ていた。しかも今では考えられないほど満員の映画館、通路に座り、客席の後ろに座って皆が映画に夢中になってたもんだ。

俺も小学生の頃から姉と一緒に映画館に行き、たくさん映画を観た。今でもベストワンムービーの「サウンド・オブ・ミュージック」も最初は映画館で観たし、ホラー映画やSF映画が好きな変な子だったと今では思う。(笑)

あの時代の熱は、今の映画館にあるだろうか。日劇で「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2」を観たときの劇場内が一体になって大笑いし、「3もここで観ような!」と知らない隣のお客さんと話した日のこと。今はなき渋谷パンテオンの「東京ファンタスティック映画祭」で大騒ぎしながら観た「ビートルジュース」や「バッドテイスト」(ピーター・ジャクソンがあんな凄い監督になるなんて誰も思ってなかったw)、「死霊のはらわた2」に「ヒドゥン」「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」……。スプラッター映画でオールナイトを観たのがどれだけ楽しかったことか。

「映画は楽しい!」という記憶を持っている人にとって、映画館は特別な場所。それはテレビで見るのとは違うし、今のような薄型大画面になっても、プロジェクターで100型を独占して見たとしても、映画館で観る映画は違う「体験」なのだ。

この映画はそんな、映画が楽しくて夢中になっていた時代を通り越してきた人にとっての郷愁を誘う。そしてそれはそのまま、遠く街を捨ててきた人に対しても同じ想いを起こさせる。トトの人生は故郷で苦い思い出を持ったまま都会へ出て行った自分たちと同じ。その想いさえも、最後には灰燼に帰してしまう。でも人生とはそれらを乗り越えて進んでいくものなのだ。

幼少時代のトトはサルヴァトーレ・カシオ。とーってもかわいくて、この笑顔を見るだけで癒される。アルフレードにはフィリップ・ノワレ。そしてトトが愛するホントに美しいエレナはアニェーゼ・ナーノ。青年期のトトと彼女のラブシーンはまさに映画のシーンのようで(いや映画のシーンなんだけどさ)実に美しい。イタリア映画の俳優さんばかりなので誰も有名ではありません。
監督はジュゼッペ・トルナトーレ。このお話はシチリアの田舎に生まれ、16歳の頃から舞台に関わってきた監督の実体験に基づくものと言ってもいいのかもしれない。

うん、やはり映画は映画館で観ましょうよ。うん。

Written by ei

2月 19th, 2017 at 9:15 am

Posted in Movies,TV

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