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Runnin' Wild

ゴースト・イン・ザ・シェル

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原題:”Ghost in the Shell

押井版のアニメ「ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊」から色々と「いんすぱいや」され、イメージとかいろんなものを借りまくって作られた全く別の話。なのでアニメ版が好きな人にとっては地獄。原作漫画好きに至っては、もう基本的な部分さえ残っていやがらねぇ。

試写会で鑑賞。終わったあと、客席の誰かが「原作知ってる方にとっちゃあもう、許せないレベルの……」って呟いたのは内緒だ。w

はるか未来、人は機械との境目をなくしつつあり、身体の一部を機械と交換してより良い「自分」を造る義体化が進んでいた。そんな中、事故で身体の全てを失い、脳だけが残った「少佐」は完全義体化の最初の成功例となり、政府の組織 公安九課で活動することになる。事故の際に記憶も失った少佐は新たなサイバー犯罪者「クゼ」を追ううちに、自分の過去を取り戻し始める。

「あーこのシーンってアニメで見た気がするー」「ああ、ここはきっとあそこから」「これはあの」と、どこかで見たことのあるシーンが展開するのに全然違う内容で進んでいくので、なんかシーン部分と台詞で異なった台本で映画が作られた感がとても強くて、思い入れのある人ほどその差異に悩むはず。ゴミ回収車とか多脚戦車とかあれとかこれとか、どのシーンもコレジャナイ。そもそもフチコマ(≒タチコマ)はどーした!

俺は原作漫画版のファンで、押井版のアニメも認めてない方なので(あれはあれで独特の世界観だけどね、「攻殻機動隊」ではない)そこまで酷いことにはならなかったけど、例えば草薙素子が「少佐」なのは元軍人だからであって、この映画の中でそう呼ぶ意味はどこにもないよね? そんな細かいことはどーでもいいじゃんと思うかもしれないけど、攻殻ってのはもともとそんな「細かな」ところを楽しむお話なわけで。てか「脳だけ残った」って何?そもそも素子、脳なんてもう形もないのに、脳って。あらゆる前提を覆されて映画を楽しめるはずもなし。ああ、金はかかってるだろーし映像はそれなり(街の景色はちょっとやりすぎ「ブレードランナー」感あり)なのに、なんてもったいねぇ。同じ世界観で違う話を作ってもいいだろうし、アニメ版リスペクトするなら素直に同じ人形使いの話にしとけばいいじゃん。それができるだけの技術がありながら、なんでこんなちぐはぐなものを作ってしまったのか理解に苦しむ。

主演はスカーレット・ヨハンソン。まだ32歳なんですな、脂が乗り切った一番いい時期か。ブラック・ウィドウが板について完全にアクションスターな彼女、「ゴースト・イン・ザ・シェル/攻殻機動隊」は見たことがなかったそーで。素子なのに日本人じゃないって批判があったって話だけど、そもそも義体なんだから別に人種なんてどーでもいいのにと思うのが正しい反応であって、そんな批判をする奴ぁ間違ってる(まぁそこが脳という部分とも繋がってくるんだけど)。他にはオウレイ博士にジュリエット・ビノシュ、ハイリに桃井かおり、そして荒巻に北野武。バトーもトグサも出ていて、それぞれがそれなりにイメージに合ってるだけに気持ち悪い(あ、容姿がとかじゃなく原作との差異が気持ち悪いって意味ね)。
監督はルパート・サンダース。「スノーホワイト」撮った人。

原作もアニメも知らなければそれなりに幸せに観られるよーな気もするけど、どちらかを知ってるともうホントにね。ハリウッドで作ってもこんな「原作レイプ」なもんができるんだなぁと。「銃夢」の実写化”Alita:Battle Angel“は大丈夫だろうか。キャメロン脚本書いてるからそこまで酷くはならないと思うけど……。

Written by ei

3月 30th, 2017 at 9:32 am

Posted in Movies,Roadshow

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