プリズナーズ
原題:”Prisoners”
2時間半もどーんと暗い想いをする映画。でもなぁ、人の親なら当たり前の感情だとも思うんだよなぁ。ましてや手がかりがそこにあることが分かっているなら。
感謝祭の日、友人のバーチ家で楽しい夕食を過ごしていたドーヴァー一家。しかしその最中、両家の小さな2人の娘、アナとジョイが行方不明になる。現場には怪しいキャンピングカーが1台。その車はすぐに捕まえることができたが、運転手のアレックスは10歳程度の知能しか持たない知的障害者。結局証拠不十分で釈放されることになるが、アナの父ケラーに対してだけ「彼女たちは泣かなかった」とつぶやく……。アレックスが間違いなくこの事件に関わっていることを知ったケラーはアレックスを監禁し、拷問し始める。一方、腕利きの刑事として知られるロキは、事件に関わる謎をひとつずつ丁寧に追っていた……。
親として、ましてやその手がかりになる言葉を自分だけが聞いていて、警察が取り合ってくれなかったら。6歳の子供が行方不明になってから生きていられる時間は決して長くはないことも含めて、その命に代えてもなんとかしたいと考えるのが親というものかもしれない。確かに理性的に考えればその行動は間違いだが、それを止める術があるだろうか。家長として家族を守るという強い信念を持った男であればなおさらだ。
ま、映画はそんな状況で、追い詰められたケラーの心情に同期するか、遅いようでもひとつずつ確実に捜査を進めていくロキに同期するかでかなり気分が変わる。多くの人はヒュー・ジャックマン演ずるケラーに引きずられるんじゃないだろうか。だから鬱々としたままストーリーは進むのだった。2時間半もあるの知らなくて、終わったら日付も変わっててわーっていう。この重いテーマで2時間半引っ張られるのはかなり辛い。
主演はヒュー・ジャックマン。派手なアクションも見事な美声も封印して演技で挑むケラー役。でも鬼気迫るものがあって圧倒されます。父として人として追い詰められていくのはかわいそうな感じも。ロキにはジェイク・ギレンホール。太りましたね(人のこと言えるか>俺)。ちょっとしたところで確実に魅せる演技をするのはさすが。他にはテレンス・ハワード、ヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロ。
監督はドゥニ・ヴィルヌーブ。カナダ人の次の映画、今度はジェイク・ギレンホールで”Enemy”。あ、もう公開済か。
元気なときに観に行かないと引きずるかも。でも主演の2人はがっぷり四つで見応えあり。