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Runnin' Wild

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

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原題:”Life of Pi

まさにファンタジー。現実は結構エグいことに気が付くとさーっと引く。ま、そこは気にせず、「どちらの物語が好きですか?」という問いかけに答えればよし。

インド人のパイは家族と共にカナダへ移住することになった。同行するのは父が経営していた動物園の動物たち。カナダで動物たちを売り、生活費に充てるためだ。しかし彼らの乗った貨物船は太平洋で遭難。パイは脚を怪我したシマウマとオランウータン、ハイエナの乗った救命ボートで流されてしまう。 ハイエナがシマウマとオランウータンを殺し、パイの命をも奪おうとしたとき、船倉に潜んでいたもの……ベンガルタイガーの「リチャード・パーカー」が目を覚ます。

実際にそこにいる人間とほぼCGで作られたトラ(映画ならではではあるが)との間の話という構図は、現実と虚構の間の物語という点で正にこの映画そのものを表しているとも言える。現実と虚構、野生と理性、自然と人工、生と死など対局する二つの立場が常に対比する。そこにはヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教と3つの宗派を行き来するパイの人生観などもあったりするのだろうが、実はもっとも驚くべきことはラストのどんでん返し。しかしそこでも「あなたはどちらを選びますか?」と二つの物語を並べ、ともすれば苦ーい後味になるお話をなんとかまとめている。きっぱりと現実を提示してしまえば、「動物との友情」なんて話を求めてきた子連れ家族なんかが絶望のどん底に落とされてしまうだろう。

ということで少なくともそんな映画ではないので、子連れで行くのはやめましょう。(笑)ただ、この映画を観に来た人たちに「現実を直視しない」という視点を持ち出すのは、この手の物語を読む人、映画を観る人たちを嗤っているかのようではある。

映像は素晴らしく、2Dで観ても海の上の美しさ、自然の美しさは十分に堪能できる。とても自然なトラの姿、星空が映る海など「アバター」の3Dと同じもので観られるならそれは良かったかなと思ったりもする(3D嫌いなので観なかったけど)。驚異の自然を体感できるかもしれない。

登場人物はほぼパイとトラだけ。そのパイには3000人のオーディションを勝ち抜いたスラージ・シャルマ。実は泳げなかったらしい。あとは貨物船のコックにジェラール・ドパルデュー。
監督はアン・リー。個人的には「グリーン・デスティニー」 、有名なのは「ブロークバック・マウンテン」かな。

まーそんなわけでもし子供に観せたいという場合は、ラストシーンを前に外に出るのが正解か。(笑)おとぎ話はおとぎ話のままでいいという年代にはちょっと早いかな。あ、そーいう意味では「大人と子供」という対比もあるのか。つまり幼少期が終わって現実を見つめられる大人になっていく、という意味では。

Written by ei

2月 6th, 2013 at 11:07 am

Posted in Movies,Roadshow

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