若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

脳内ニューヨーク

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Synecdoche_New_York.jpg

原題:”Synecdoche, New York

ん〜、「エターナル・サンシャイン」が良かったから期待したんだけどなぁ。ちょっと冗長すぎ。

舞台演劇の脚本家で演出家のケイデンは、私生活で行き詰まっていた。妻には逃げられ、自分を好いてくれる女性にの想いに応えられず、さらに体調不良からすぐに死んでしまうと思い込む。そんな中で彼に舞い込んできたのは、天才演出家に贈られるという賞。受賞によって莫大な資金を得たケイデンは、自らの最大のプロジェクトに取り組む。それは自分自身とそれに関わる全ての人が登場する、嘘偽りのない自らの生活を再現するというもの。ニューヨークの倉庫に巨大なニューヨークのセットを組み、自分の周りのもの、さらには自分自身さえ演劇の役のひとつとして登場し、ケイデンの現実と演劇の境目は失われていく。彼はこのプロジェクトを完成させることができるのか?

自分自身を投影した作品を作りたいと思うのは、作家であればいつも思い描くことだろう。しかしこのお話の場合、それが行き過ぎてしまい、現実はどちらなのかわからなくなる。さらには演劇が現実を追い越してしまうことさえ起こり、それまで混乱していた頭がさらに混乱の極へと近づいていく。ついには自分の人生であるはずなのに、それさえ放棄してしまう。実際、そこにあるのは「自分を見て欲しいんだ!」という孤独の叫び、それは都会に住む人たちが一様に持つ感情なのだろう。

そういう意味ではその混乱ぶりはそれなりに面白い……のだが、ケイデン自身が決して面白い男でない(笑)ことが、この物語をついつい冗長なものにしてしまう。いやそりゃそれなりにひどい人生を送っているのだが、映画を観ている人たちはそのひどい人生を追体験したいわけではないはずだ。もう少し明るい方向に振ってれば、きっと面白くなったと思うんだが……。アイデアが面白いだけにもったいない。ここが脚本家チャーリー・カウフマンの限界か。というか、初監督の「迷い」がこの映画にそのまま投影されたということなのかもしれない。

主演はフィリップ・シーモア・ホフマン。「MI3」の敵役が印象強い彼。他にはキャサリン・キーナー、サマンサ・モートンなどなど。
監督はチャーリー・カウフマン。 つまり脚本家の初監督。

ま、あのノーラ・エフロンも初監督作品はイマイチだった。いずれ安定して、もっと面白い映画ができると思う。

Written by ei

12月 2nd, 2009 at 4:46 am

Posted in Movies,Roadshow

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