悪の教典
文藝春秋
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貴志先生待ってました!!!
貴志祐介さんは間違いない!
待ちにまった新刊!・・・は、
納得がいかない感じ・・・
新刊を心待ちにしておりました
文藝春秋
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恐怖の距離感を楽しむ
面白かった
期待しすぎたかな…
今までの作風と悪い意味で違いました
ちょっと肩透かし
久しぶりのブックレビューは貴志祐介の新刊。今回は前作のSFファンタジーではなく、かつての貴志らしい「B級バイオレンス」。2日で一気に読了。
個人的に貴志祐介という人の書く文体が合っているのか、それとも単にこの人の文章は読みやすいのか。他の本が止まってしまうにも関わらず、この人とF.P.ウィルスンの本はどんなに分厚くても一気読みできるというのはある意味才能。ま、前作の「新世界より」は少し重かったけど。
今作は今までの作品でどれに一番近いかと言えば「青の炎」か。学校が舞台なことやサスペンスに近い話なところなどがよく似てるが、同じスケール感で描いてしまって主人公が少し矮小に見えてしまうところが残念。これだけの器がこんなところでくすぶっていてはいけない、と思ってしまう。(笑)途中で挟まれる中の話のひとつを膨らませて復習劇にしてしまうとか、アメリカ編という手もあったろうに。その方がおそらく今までにない貴志作品に仕上がっただろうと思われ。
貴志祐介の書くミステリータッチの作品は、どうしてかちょっと浅い。天才による完全犯罪を目指しているにも関わらず、いつも「太陽がいっぱい」を思い出してしまう(今回は特にw)。俺はやはりモダンホラーを書いていて欲しいんだが、やはりあれは若いときにしか書けないものなんだろうかねぇ。「黒い家」「天使の囀り」は群を抜いて面白かったと思う。
ま、それでもエンターテイメントとして読むならこれはそれなりに面白い。書痴な人にはその本の太さも悦びであり、貴志作品の一気読み度であっという間に終わってしまうのは悲しみであろう。