サブウェイ123 激突
原題:”The Taking of Pelham 1 2 3“
うーん、ちょっと消化不良な感じでもったいない。キャストも設定もしっかりしてるのになぁ。もう少し捻れば傑作になってたと思うんだが……。
地下鉄の指揮所で運行中の電車に指示を出していたウォルター。そこで起こったのは地下鉄を使ったハイジャック(メトロジャック)事件だった。たまたま座った路線で犯人と最初に会話したことから交渉役にされてしまうウォルター。ライダーと名乗るハイジャック犯のボスは身代金のタイムリミットまでの1時間、ウォルターといろいろなことを話し続ける……。犯人の正体は?そして本当の目的は?
伏線がいっぱいあるんだけどそれを回収し切れてなかったり、無駄にカーチェイスシーンを入れていたり(どう考えてもヘリで動くだろうというところとか)、こーいうところがトニー”トップガン”スコットだと言われても仕方ないかなぁとか思ったりもする。舞台設定はすごくスリリングで面白いんだから、あとは名優同士のぶつかり合い+ヒーローのいないストーリーにしてしまった方が、お話としては締まりがあって良かったと思うんだが。
結局人間は誰も罪を犯さずにはいられないという部分を突き詰めるだけでもそれはアリだろうし、話している中で犯人と交渉役が共感を覚えていくという方向でも良かったはず。実際に二人の立場は結構似ているところがあるのだから。それが最後までできないで、勧善懲悪で終わらないと駄目なのはハリウッド映画と言ってしまえばそれまでか。もったいない。
主演はこの映画のためにわざわざ太ったという(確かに二回りくらい大きくなってました)デンゼル・ワシントン。どんどんおやぢになってますね。(失礼w)犯人役にはジョン・トラボルタ。切れた人の演技はこの人が悪役をやり始めてからははまり役なので問題なし。あとはトランスフォーマーで頭がぶっ飛んでたシモンズ役だったジョン・タトゥーロとか。
監督はトニー・スコット。もっと深く掘りたかったんじゃないかなぁ。いくらでも広げ方はあったろうに。
舞台もキャストも監督もぜーんぶ揃ってて、なぜ傑作になり得なかったか。でもここをこーすればっていうのはいくらでも見えてくる映画。