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Runnin' Wild

ファースト・マン

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原題:”First Man

今でさえ過酷な宇宙の旅が、50年前ならほとんど自殺行為だったことがわかる。よく言っても奇跡。あの時代から東西冷戦とか軍拡競争とかテロとの戦いとかじゃなく、宇宙開発競争を行っていたなら、人類は今頃月に住んでいただろうになぁと思うと、この50年の歩みがいかにバカらしいことかも考えてしまう。

1960年代、アメリカとソ連は冷戦の真っ只中。その争いは宇宙開発でも行われていた。有人宇宙飛行で遅れをとっていたアメリカは、「人類を月に送る」という号令の下、過酷な訓練と危険なテストを繰り返す。乗員として選ばれた者たちはまさに命がけでその開発に挑み、1969年、ついに人類は月面に足を付けるのだった。

アポロ計画といえば、「あれは地上のスタジオで撮ったんだ」というトンデモがいまだに囁かれるが、この過酷さを見ればそう考えるのも無理はないとも思う。ま、実際に少しの穴でも死んじゃうし、コンピュータも積んでない鉄の塊を月まで飛ばすってのはねー(実際の軌道計算とかは全部センターでやってるんだよね、確か)。小さな一つの間違いですぐ失敗する、そんなミッションをよくもまぁ成功させたものだと。

今作はその過酷な状況を、「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルがドキュメントタッチで描く。「セッション」「ラ・ラ・ランド」と音楽映画でヒットを飛ばしてきた彼としては、挑戦的な作品と言えるかもしれない。音楽も少なく、ましてや宇宙は無音。ま、そもそもタッチがドキュメンタリー風なので、あまり音楽はないんだけど。

主演はニール・アームストロングに「ラ・ラ・ランド」に続いてライアン・ゴズリング。あの荒くれで口数が少なくて何を考えてるのかわからない人だったゴズが、今や押しも押されぬ大スターですよ。奥さんのジャネットにはクレア・フォイ。ニールのライバルで宇宙飛行士仲間のエドにジェイソン・クラーク。
監督はデイミアン・チャゼル。今やってるらしい仕事が、”Untitled Damien Chazelle/Apple Project “というTVシリーズ企画の脚本……。これ、Appleが参入すると言われる配信サービスの中で作られるTVシリーズのことだな?聞くところによると、Appleの首脳陣が口を出し過ぎて難航してるらしいけど……。

人類が月に立った!ということがテーマかといえば、実はファースト・マンだったニール・アームストロングの心の内を描くのが1番のテーマであり、そーいう意味ではテッキーな話というより人間ドラマ。まーこれだけの経験を積めば、宇宙飛行士がのちにおかしな方向に進むのもさもありなん、と思うのは決して俺だけではないだろう。(笑)

Written by ei

3月 9th, 2019 at 3:49 pm

Posted in Movies,Roadshow

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