若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

永遠の0

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2014年の1本目は珍しく邦画。でもこれが1本目で良かったよー。戦争を知らない我々こそがこの映画を観て、「不戦の誓い」を持つべきだなぁ。

2004年、終戦60年を前に、司法浪人生の佐伯健太郎はフリーライターの姉の仕事を手伝う形で、特攻で戦死したという彼らの実の祖父、宮部久蔵について調べることになった。最初のうちこそ行く先々で「海軍一の臆病者」「飛行機乗りの風上にもおけないヤツ」などと言われるが、そのうちになぜ宮部がそのように呼ばれたかの真相が明らかになってくる。しかしその祖父が、なぜ特攻に行ったのか……。その答えを探して、2人はさらに戦争の生き残りに話を聞いて回る。

実は今回、帰省したときに実家で母に聞いたことがある。それは「うちは両家とも祖父母が健在で終戦をよく迎えられたよね?」という話。父母は共に昭和17年生まれ。となれば祖父母はその頃働き盛り、祖父の年代の多くは戦場に送られた年頃のはずだ。聞いた話は次のようなことだった。

父方の祖父母は戦時中、北京で会社を興して商売をしていて、そのまま終戦を迎えた。なぜ赤紙が届かなかったかまでは聞いていなかったようだが、終戦後は興した会社を現地の人に引き継がせて1年後に北京から上海の方へ抜けて船で中国を脱出したらしい。現地の人には良くして貰えたそうで、もし満州にいたなら朝鮮半島を越えて帰ってこなければならず、命は危うかっただろうと(実際、母方の親戚は満州から帰る間に子供を亡くしているそうだ)。かつて父は、一時期やっていた中国残留孤児の番組を見て、「人事とは思えないことなのだ」と涙を流していたことがある。

母方の話は今回初めて聞くことができた。実は母方の曾祖父は元陸軍士官(母実家にはかつて軍服に身を包んだ曾祖父の写真が飾られていたのを覚えている)で、当時「赤紙を発給する仕事」をしていたそうだ。そして祖父は小さな頃に病気をしていたこともあり、結果として赤紙を受け取ることはなく日本国内で終戦を迎えることになった。たくさんの人たちを戦地に送り出したことを悔やんでいた曾祖父は戦後遺族会の会長まで務めあげ、毎年2回遺族を引き連れて靖国にお参りしていたという。

俺たちはちゃんと戦争の話を語り継がなければいけないんじゃないかと、今回の話を聞いて思った。もっと早くにそんなことに思い至っていれば、実際に祖父の口からいろいろな話を聞けたのに。すでに戦後は70年。語る人たちも本当に少なくなってしまった。せめて今回聞いた話を記すことで、ひとつの記録になればと思う。

少し話が脱線気味だが、この映画はそんな戦争の真実を語った原作をほぼ忠実になぞった良作。某映画監督が「戦争美化映画」とか「ゼロ戦を使った架空戦記」とか言ってたけどそんなことは全くなく、戦争で散っていった命を惜しみ、何があっても生きようとした男の生き様を描いた非常に胸に響く物語になっている。右翼映画でもないし明らかに反戦映画だと思うんだが、「ゼロ戦」とか「太平洋戦争」とか聞いただけで思考停止してしまう国の人たちには何を言っても伝わらないんだろうなと。

原作では日本が負けた理由は海軍高級士官が無能だったからだと明確に言っている(映画ではあまり描かれないが)。行き当たりばったりの作戦、船を沈められなければ負けても出世できるシステムが慎重さを生み、勝てる戦いで決定打を欠き、物量で大きく勝るアメリカに対して初期段階で勝ちきれなかったこと。そしてその現実を認められず、あたら戦後の日本を背負って立つはずの若い命を散らしたことは、実に情けないことだ。無能な上司によって死に追いやられた英霊に対して我々ができることは、それらを忘れず不戦の誓いを持つことなのだろうと思う。

もうひとつ、今回はCGによる特撮も非常に完成度が高い。まぁ波しぶきがあがるシーンは一番難しいのでアレなんだが(笑)、ゼロと米軍機の空戦シーンや空母の雄姿などはハリウッドレベルに近いものになっていて迫力があって見応えがある。CGのデータ提供がTAMIYAってのもなかなかこだわってるよね。これは東宝がいずれ作るであろう次のゴジラシリーズあたりが凄く楽しみになってきたぞ。w

主演は岡田准一。基本的にジャニーズを使った映画を作るのは反対だけど、「図書館戦争」といい岡田君はとてもいいね。w またそーいう配役をすることで若い人がこの映画を観てくれるのであれば、それはそれでいいのかもしれないなと思った。孫の健太郎には三浦春馬。他には井上真央、吹石一恵、風吹ジュン、橋爪功、染谷翔太、浜田岳など。中でも景浦役の新井浩文の慟哭の演技は同じ想いに引き込まれずにはおれないものがあってとても胸を打つ。そしてこれが遺作となった夏八木勲。合掌。
監督、脚本、VFXまで含めて担当してるのは山崎貴。CGIの会社でもちろん今回の特撮も担当している白組所属。そうか、だからCGへの力の入れ方がハンパないのね。

原作を読んだ人でも十分に満足できる内容になっているので安心して観に行って欲しい。岡田君目当ての人も、靖国参拝帰りの人も、艦コレ好きで赤城の雄姿を観たい人(笑)も皆行って泣いてください。

Written by ei

1月 5th, 2014 at 1:21 am

Posted in Movies,Roadshow

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