ツーリスト
原題：”The Tourist“
この映画のどんでん返しがどんでん返しに見えないのは、ひとえにジョニー・デップのおかげです。（マテ
脱税やその他の罪で国際指名手配を受けている男「アレクサンダー・ピアース」の恋人として警察にマークされているエリーゼの元に、ピアースから届いた手紙。指定の電車に乗り、自分に似た体型の男を捜して話しかけ、ヴェニスに迎えという指示通りに動いたエリーゼは、電車内で冴えない数学者 フランクと出会う。捜査を混乱させるためのピアースの作戦なのか、それとももっと深い意味があるのか。物語は二転三転を繰り返していく。
スタイリッシュサスペンスとして、お金かかってるよねー、ジョニデもアンジーもおしゃれだよねーで観てるうちはいいのだが、謎解き部分になんとも言えない物足りなさを感じてしまうのは、他でもない一番だまさなければならないはずの「観客」だけがだまされていないからで、そしてそれはひとえにこの配役によるのだろう。もう少し裏の裏を読ませる展開を期待したのだが、思った通りの展開になってしまう。しかも登場人物一同は全員だまされているというところがまたこっけいな感じ。いや、ふつーどこかで気付くだろう。
というかその裏の裏を作るなら登場人物の誰かがちゃんと気付いて話を合わせて進めるなどの工夫がないといけないはずで、それができてないからサスペンスとしては落第。お話に深みは出てこないし、狐と狸の化かし合いにならない。サスペンスはやはりそーいう化かし合いこそが醍醐味なのにね。
「ハリウッドスター映画」として楽しめば合格。主演はジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーという豪華二大スター。場所もヴェニスで超高級ホテルだったりとスタイリッシュ。この二人のファンなら満足できる出来だろう。他にティモシー・ダルトン、ポール・ベタニーなど。
監督はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
謎解きとかどんでん返しとかを期待せず、とにかくおしゃれな二人の旅を楽しむ。この映画はきっとそれが正しい見方です。