若旦那の独り言wp

Runnin' Wild

Archive for the ‘始末屋ジャック’ tag

始末屋ジャック 地獄のプレゼント

without comments

始末屋ジャック 地獄のプレゼント 上 (扶桑社ミステリー)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 5226

始末屋ジャック 地獄のプレゼント 下 (扶桑社ミステリー)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 5269

待ってました!しかもやっぱりあっという間でした!あー、まだまだ続きが読みたいぞ!

今回の「始末」は、疎遠だった兄トムの件。3度目の結婚もうまくいかず、さらにFBIにもすでにマークされて逮捕は確実の兄をいやいやながら救うために、バミューダ諸島へと赴くジャック。そこで見つけたものはやはり「異界」に通じるモノだった。家族を守るために戦うジャックはクリスマスの朝を迎えられるのか……。

始まり方がショッキングで「えーっ」って感じで、どーしようもない兄にイライラし、しかし後半怒濤の展開でやっぱり一気読み。ああ、仕事がこんな時期に、やっぱりこのシリーズは怖い。すでに「偶然はない」と言われている彼のこと、今回起こったあらゆる出来事も結局は異界に通じるものであり、こうなることは必然だったということだろうけど。もうちょっと絡んで欲しかったなぁ、残念。

翻訳の大瀧氏によると、本国ではもう始末屋ジャックシリーズは完結している模様。あと6冊もあるのに。しかも各巻の概要を読むとすげーことになっていて、とうとうこれまでアドヴァーサリ・サイクルには入ってなかった「黒い風」も組み込まれるとか。そしてウィルスン自身はいよいよ「ナイトワールド」の修正に入ったらしい。うをー、早く読みたい!読みたいのに!大瀧氏によると既刊のものを全部出すには、今のペースだとあと20年かかるとか……。俺、生きてるのかよ。(-_-;)
本気で原書を辞書と首っ引きで読まないとダメですか?

やっぱり「マンハッタンの戦慄」を映画化してその機会に一気にペースアップってのが理想なんだけど、そーいえば映画化の話はどーなったんだろうか。今ならジャックはヒュー・ジャックマンでいいと思う。w

ということでここはファンがしっかり応援して、もっと発刊ペースを上げてもらいたいところ。とにかくこのシリーズ、面白いので皆さん手に取ってみてくださいな。ホラーというよりはアクションホラー。w 以下、以前紹介した既刊をシリーズ順で。

マンハッタンの戦慄

神と悪魔の遺産

異界への扉

悪夢の秘薬

始末屋ジャック 見えない敵

始末屋ジャック 幽霊屋敷の秘密

始末屋ジャック 深淵からの脅威

始末屋ジャック 凶悪の交錯

まずは映画化企画がずーっと続いてる(はずw)「マンハッタンの戦慄」だけでも。ハマりますよ!

Written by ei

12月 26th, 2011 at 11:54 pm

Posted in Books

Tagged with ,

始末屋ジャック 凶悪の交錯

without comments

始末屋ジャック 凶悪の交錯 (上) (扶桑社ミステリー ウ 8-27)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 5823

始末屋ジャック 凶悪の交錯 (下) (扶桑社ミステリー ウ 8-28)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 5822

発売日前日の29日に入手して発売日中に読了。(笑)相変わらず一気読みのウィルスン。ん〜、今回はちょっと負け。

父との和解と、圧倒的なアドヴァーサリの力を見せつけられた前作から2ヶ月あまり。ジャックはニューヨークに帰り、また始末屋の仕事を再開していた。今回の依頼はカルト宗教にハマって音信不通になった息子を捜し出して欲しいという「老女と犬」のペアと、強請られている謎の女性を救うこと。もちろんすでに「偶然などない」ジャックには、どちらの案件にも「異界」の影響があった。すべてはあるべき形に結びついていく。今回もジャックは異界の侵出を止めることができるのか?

今作ではいよいよアドヴァーサリとの長い対決の歴史が語られ、ジャックは真相に近づいていくことになる。グレーケンとラサロムの過去、現在、そしてこれからのこと。もちろん歴史は「ナイトワールド」へ向けて進んでいくわけで、これまでよりも明確な全体像が見え始める。
ただ始末の仕事としては、 今回はちょっと後味の悪いものになった。いるべきとき、いるべきところにいなかったジャックを歯がゆい思いで見つめることなるだろう。もちろん彼は万能ではない。しかし自分に関わった者は常に救いたいと願う彼を応援したいし、それがとても良い読後感をもたらしてきたことも事実だ。やはりジャックには「勝って」もらいたいのだ。

ということで既刊シリーズ13作中8作目が登場した始末屋ジャックシリーズ。追いつくまではあと5作、さらに14歳のジャックを描くジュブナイルシリーズが登場しているという。とにかくシリーズは確実に最後まで出て欲しいし、スピンオフな話もぜひ読みたい。そのためにはやはり、このシリーズを読む人を増やさなければならない。ここまで邦訳全作を紹介して興味を持った人はぜひ、シリーズを手にとっていただきたい。そして続巻の登場を心待ちにしようではないですか!(^-^)

前回予告の「世界観」云々話も書きましょうね。ということでもうちょっと続くよ。w

Written by ei

10月 1st, 2009 at 2:20 am

Posted in Books

Tagged with ,

始末屋ジャック 深淵からの脅威

without comments

始末屋ジャック 深淵からの脅威〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 357958
おすすめ度の平均: 5.0

5 ラ〇ロム!

始末屋ジャック 深淵からの脅威〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 357656

とうとう姿を現す一者とその力。家族の絆を回復していくジャックの運命は回り続ける。

フロリダに越していた父が交通事故で意識不明の重体ーそんな電話が15年以上音信不通だった兄トムからかかってきた。しかも兄は行けないため、ジャックに見舞いに行けという。フロリダの地に着いたジャックは父の向かいに住む犬を連れた女性 アーニャと出会う。アーニャは不思議な力を持っていた。
方や、フロリダの湿地帯に住んでいるクランー同じような身体特徴を持った仲間たちーの長、セマリーは北から男がやってくることを知る。この男が自分にとって特別であるという感覚を持ったセマリー。しかし、クランは父の事故に深く関与していた……。
そしてアメリカのどこかで、一者は自らの滋養となる「悪」を吸収し、力を増大させていた。

この作品がシリーズ中最高傑作と言われる所以は、ジャックと父の信頼の回復、そしてジャックが家族の絆を取り戻していく過程が心温まるものだからかもしれない。事実、読んでいて泣きそうになる(俺だけかも?w)ところあり、「ああ、ジャックの想いを共有してくれる人がいた」という安心感は、シリーズを通して読んでいる人には実感できるはずだ。
と同時に、一者ーサル・ローマがその真の名前「ラサロム」としての圧倒的な力を振るい、これまでのなんだか小物な感じ(笑)を払拭して宿敵の姿を現し始めることも、ゾクゾクする期待感となって迫ってくる。

姉の死、恋人との絆、そして父との信頼と、これまで現世で生きていなかったジャックが、もう一度現世での生を得て、強大な敵に立ち向かうという方向に話は進みそうだ。次にくるのは兄との話だろうか。いずれにしろそれはどこかで必ず出てきそうだ。
そしてここまでジャックがラサロムと関わったからには、「ナイトワールド」が書き直されることはほぼ間違いないだろう。あるいは始末屋ジャックシリーズとして、パラレルワールドな「ナイトワールド」がもう一本生まれるかだ。それでいい気もする。ジャックはラサロムと対決しなければならない。それは彼がジャックであり、ラサロムを葬り去ることは彼自身の矜恃を守ることでもあるからだ。

ということで既刊はなんとか紹介終了。もう一回、アドヴァーサリ・サイクルがどーいう年表になってるかとか、映画化の話とかをまとめてみたい。きっとそれを書いてる間に新刊入手→一夜で一気読み、となるはずです。w

Written by ei

9月 26th, 2009 at 3:29 pm

Posted in Books

Tagged with ,

始末屋ジャック 幽霊屋敷の秘密

without comments

始末屋ジャック 幽霊屋敷の秘密〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 66913
おすすめ度の平均: 5.0

5 内容はGOOD!でも翻訳が、、、
5 物語は新たな領域ヘ!
5 一晩寝ずに読み終えました!

始末屋ジャック 幽霊屋敷の秘密〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 377933

少し本筋からずれているように見えて、それでもやっぱり「もはや偶然はない」のだった。

姉を亡くして2ヶ月、葬儀にも行けず、仕事もせず、失意の日々を送ったジャックだったが、ようやく始末屋の仕事に復帰することにした。今回の仕事はたまたま訪ねた霊媒師の家で起こる、他の霊媒師からの妨害工作らしきものを止めるという、あまり険悪でないもの。そしてもうひとつ、何か悪いことをしているかもしれない弟を守り、必要なら止めて欲しいという謎の依頼も。
しかしジャックが家を訪れたことで霊媒師の家には良くないものが復活していた。 それはジーアを絡め取り、結局はジャック自身の大きな問題をも巻き込んで行くことになる。

今作で何より面白いのは、ジャックと霊媒師たちが仕掛ける様々な詐欺ートリックの数々だ。もちろんすべての霊媒がそうだとは限らないだろうが、それを商売にしている者たちの裏側を暴きつつ、さらにその上をいくトリックで相手を騙そうとするシーンは非常に楽しい。「スティング」とまではいかないが、イカサマ師ってのはこーいう人たちのことを言うんだなぁとしみじみ。
もうひとつはカルトの恐怖。小児性愛やカルトの生け贄といった部分に触れつつ、それがどんなに許されない行為かー俺もこの世で最も忌むべき行為は罪のない子供たちを傷つけることだと思うーを描く。これはアメリカだから、と言ってられる世の中ではなくなりつつある。我々が留意すべきは「児童ポルノ」だなんだと言って表現の自由を制限することではなく、本当に傷つけられている子供を助けることなのだ。

と、話はそれたが、今回ジャックにはとても大きな、人生を変えてしまうような大きな出来事が起こる。その様は想像通りなのだけど、そりゃ彼の性格からすればそーだろうなぁと。そこも読んでいて楽しいところでもある。

次はシリーズ既刊の最高傑作と言われる「深淵からの脅威」だ。ふー、間に合った。(^-^;

Written by ei

9月 25th, 2009 at 2:41 pm

Posted in Books

Tagged with ,

始末屋ジャック 見えない敵

without comments

始末屋ジャック 見えない敵〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 295651
おすすめ度の平均: 4.0

3 じっくり、哀愁を楽しめる本でした
5 始末屋ジャック、危機一髪!

始末屋ジャック 見えない敵〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 295473

この巻から邦題に「始末屋ジャック」と入り始めました。シリーズは5作目。いよいよ異界の侵出が始まる。

偶然居合わせた地下鉄の社内で起こった乱射事件。その犯人を射殺したジャックは、その場を立ち去った……。もちろん自分自身の身元が暴かれることを恐れてのこと。しかしジャックは「救い主」と呼ばれて大々的に報道され、しかも同じ車内にいた新聞記者に追い回されることになる。同じ頃、新たな依頼を引き受けたジャックの前に現れたのは、すでに15年あまり完全に音信不通になっていた姉 ケイトだった。ケイトが依頼人?でもなぜ?

いよいよ異界との対決が明確になりつつある今作。すでに「偶然はない」と言われてしまうジャックにとって、異界との戦いは宿命となりつつある。その運命の輪の中に姉が巻き込まれたというのが今回のお話のポイント。しかも時折現れる幻視は、「ナイトワールド」を読んでいる者にとってはかつて体験した、その後の世界のイメージに非常に近く、不気味だ。
今回のもう一つの軸は、新聞のいい加減さだ。もちろんそれが悪いこととは言わないが、自分で勝手に筋立てを考えてしまう記者の姿は映画「ニュースの天才」のヘイデンくんを思い出さずにはいられない。 日本のマスコミももっと……。(以下略)

とにかくすでに偶然はないと言い切られてしまったジャックにとって、異界との関わりはこれまで以上に濃密になっていく。そしてその先に見えてくるのは、小説「ナイトワールド」とは違う時間軸の未来だ。あのジャックが、やられっぱなしのまま、何も知らない第三者として関わるような立場になる訳もない。さてどっちに進むのか。

さて既刊のものはあと2作(今読んでるのは「深淵からの脅威」の上巻)。感想まで含めて間に合わせなきゃ!

Written by ei

9月 23rd, 2009 at 9:06 pm

Posted in Books

Tagged with ,

悪夢の秘薬

without comments

悪夢の秘薬〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 458606
おすすめ度の平均: 2.0

2 始末屋ジャックはどこへ向かうのか?

悪夢の秘薬〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 459650

新刊「凶悪の交錯」発売まであと1週間あまりと迫ってきた。読み直し本はあと2冊と半分。なんとかギリギリ間に合いそう。w 紹介する方も忘れてはいけないですね。間に合うように頑張る。

今回のジャックへの依頼は、「敬愛する私の上司がギャングに脅されているかもしれない。助けて欲しい」というもの。依頼主のナディアーは大学時代の恩師であり、新しい仕事の上司にもなるリュク・モネがセルビア人のギャング、ミロシュに脅されていると考えていた。時を同じくして、ミロシュに復讐したい男から依頼を受けていたジャックは、この件を引き受けることにした。
ニューヨークの街は狂気に溢れているように見え、そこかしこで暴力事件ーしかも常軌を逸したものが起こっている。その原因は新しい麻薬だと言われており、その影にはミロシュの姿が見え隠れする……。果たして麻薬の正体は?

今作のポイントはこの麻薬の正体であり、そこにはあの忌まわしき存在がある。そして異界に囚われつつあるジャックの周りでは、それに関するコトばかりが起こり始めてゆく。ラコシとの戦いに生き延びたことで異界がジャックを知り、その命をも狙っているのだということが、徐々に明らかになってくる。それでもジャックは持ち前の、自らの中にある正義を信じて、それに立ち向かっていく。

始末屋ジャックシリーズで心地よいのは、このジャックの正義感が実に正しいことだ。夜の中には理不尽なこと、それでもどーしようもないことがたくさんある。正義でないことがまかり通ってしまう世の中は間違いだと思っても、自分の手ではどうすることもできない。ジャックはそんなことを「始末」してくれる。彼が所属しない社会の闇を、正しく始末する。つまりある意味「必殺仕置き人」。(笑)

そんな彼の活躍が読めるのはこの始末屋ジャックシリーズだけ。今作もAmazonなら1円ありますよ。是非っ!w

Written by ei

9月 22nd, 2009 at 3:56 pm

Posted in Books

Tagged with ,

異界への扉

without comments

異界への扉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 422968
おすすめ度の平均: 4.5

5 異界シリーズの始まり
4 陰謀・・・・そしてまた・・・・

あと半月、Amazonでも予約が始まった「凶悪の交錯」を予約しつつ、始末屋ジャック応援月間は続いております。なんとか発売までには間に合いそうなペースの今月は、完全に読書の秋、映画の秋になってるなぁ。

ジャックの元に舞い込んだ新たな依頼は、「行方不明になった妻 メラニィを捜して欲しい」というありふれたモノ。しかし依頼者ルーイスの話を聞けば聞くほど、その異様な失踪事件は謎に満ちていた。行方不明の妻がテレビから呼びかけ「始末屋ジャックに電話して、私を捜して」と言ったというのだ。メラニィを探すヒントは、彼らの所属している超常現象研究会SESOUPにあるとにらんだジャックは、その総会に参加して他の参加者を探ることになる。果たしてジャックはメラニィを見つけることができるのか?

さて前作で復活を果たした始末屋ジャック、今回は「世の中は陰謀に満ちあふれている!」というお話で、俗に言う陰謀マニア(俺みたいな人だ!)な人たちをおもしろおかしく描きつつ、そこにいよいよアドヴァーサリと「異界」が登場し、物語は徐々に核心へと迫り始める。
今回の社会に対する作者の眼は、超常現象や政府の陰謀を研究する陰謀マニアに向けられており、いろいろな陰謀を読ませながら、さらにそこで起こっている事象を物語に取り込みつつ、なんともいえない「にやっと」した笑いをもたらしている。
もちろん本編ーアドヴァーサリの登場と、ジャックが選ばれた理由があり、ジャックがこの対決に巻き込まれたのはもはや必然だと思わせる。 これまでの話、そしてこれから先の話をアドヴァーサリ・サイクルに繋ぐ架け橋的なモノになっている。ここで登場する「異界」こそが正にこのシリーズのポイントであり、ローマ教授が解説する話こそ「クトゥルー神話」だったりするわけだが、まだまだこの時点での影響は大きくない。もちろんこれから先の巻でどんどん影響を及ぼしていくのだが。

ま、この巻では世界の「陰謀」とかを知ってれば知ってるほどニヤニヤしてしまうはず。あ、俺?もう終始ニヤニヤしっぱなし。(マテw

「凶悪の交錯」、予約はこちらからどうぞ〜。w

始末屋ジャック 凶悪の交錯 (上)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 12981

始末屋ジャック 凶悪の交錯 (下)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 12980

Written by ei

9月 14th, 2009 at 11:44 am

Posted in Books

Tagged with ,

神と悪魔の遺産

without comments

神と悪魔の遺産〈上〉―始末屋ジャック (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 334815

神と悪魔の遺産〈下〉―始末屋ジャック (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 334893

いよいよこの作品で本格復活する始末屋ジャックシリーズ。シリーズ第2作目となるこのお話はホラーではなくアクション活劇に近く、とりあえずファンに対する「ただいま!生きてたよ!」(まぁそれは「ナイトワールド」に出てくるのだから生きてるんだが)という挨拶なのかもと。いつもと同様、テンポの良い面白いお話に仕上がっている。

あの戦慄のラコシとの戦いになんとか生き延びたジャックの元に新たな依頼が舞い込んでくる。亡くなった父が残した家を相続したはずの女医アリシアが、「あの家を燃やして!」というのだ。家に近づくのさえいやだというアリシア、その家を言い値で買い取るという腹違いの兄、さらにその後ろに見え隠れする謎の集団。そしてこの家に関わった者たちがすでに何人も死んでいた。……果たしてこの家にはどんな秘密が?

前回のような「怪物」と戦うと言った派手さはないもののちゃんとミステリー仕立てになっており、その中でもちろんジャックは大活躍する。ジャックの悪癖とも言える「好奇心」が、関わるのは止めた方がいいと始末屋の本能が知らせる事件さえもその「謎」を知りたいがために首を突っ込んでしまう。さらに悪に対する怒りが、彼を突き動かすというところは変わっていない。
さらに始末屋ジャックシリーズは2作目以降、ちょっとずつ社会現象に対する作者の見方をジャックを通して教えてくれるようになっている。この作品の中では「コカイン中毒になった親から生まれるエイズの子供たち」という大きな問題を描き、特に人々のエイズに対する偏見(というかこれは未知のモノに対する恐怖なんだろうけど)を悲しむ。F.ポール・ウィルスン、実は本職は医師。エイズがどういうものかを知っているからこそ、彼=ジャックは無垢な子供たちの苦しみを嘆くのだろう。そして世の中の人の無理解をなんとか正したいという想いがあるのかもしれない。

最終的にお話はある意味SFな方向へ進むのだが、この作品はほぼハードボイルド・アクションと言っていい。一作目で彼がどうなったかが気になっていた人は、彼の帰還を一緒に喜ぼう。

Written by ei

9月 5th, 2009 at 1:24 am

Posted in Books

Tagged with ,

マンハッタンの戦慄

without comments

マンハッタンの戦慄〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 141480
おすすめ度の平均: 5.0

5 もっと人気出てもいいのに
5 ハードボイルド

マンハッタンの戦慄〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F・ポール・ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 192103
おすすめ度の平均: 5.0

5 もっと人気出てもいいのに
5 ハードボイルド

ということで「始末屋ジャック応援月間」、やはり読まなきゃ始まらないということでシリーズ第一作目から読み返すことにした。最初はもちろん映画化も進行中の「マンハッタンの戦慄」”The Tomb”、始末屋ジャック初登場の巻。実際書き始めたときにはこの話がアドヴァーサリ・サークルに連なると考えてはいなかったんじゃないかなと思うんだけど、基本的に「ザ・キープ」でもクトゥルー神話を下敷きにしているということで繋ぎやすい部分ではある。

始末屋ジャックはいろいろな「裏の仕事」を始末する男。それは人殺しや強盗といった悪の仕事ではなく、ある種の「正義」の行使だ。
ある日彼の元に舞い込んだのは、祖母のネックレスを奪った男を見つけ出して取り戻して欲しいというインド人 クサムの依頼と、行方不明になった叔母グレイスを捜して欲しいというかつての恋人ジーアからの依頼だった。首尾良くネックレスを取り返したジャックの前に現れたのはクサムの妹コラバティ。二人がアパートにいる間にやってきた闇の中で蠢くモノはこの世のものではない「黄色い眼」を輝かせていた……。

この作品の魅力はまずなんといってもジャック自身のキャラクターだ。偏執狂的であり、子供のようでもあり、それでも自由の名の下にアメリカに対しても従うことを良しとしない。自らの中にある「正義」の基準で生きている男。ハードボイルドのように見えるが、家族を愛し、自分の周りにいる者に対しては責任を持って守る。それを自らの責任としている。さらに彼自身の中にある、悪に対する「怒り」。その怒りこそが、ジャックを始末屋稼業に駆り立てるものであり、社会のしくみの中ではどうしようもない悪ー日本ではよくある話とも言えそうだーを懲らしめるために、ジャックは様々な手段を使う。 その「始末」の内容もいつも楽しみなところだ。
そしてもうひとつは彼の周りにいる脇役たちの存在。美しいジーア、愛しいヴィッキー、ペシミストのエイブ、口うるさい父。その誰もがキャラクターとして活き活きとしており、ジャック自身が彼らとの関わりの中でさらに輝いて見える。今回はそこに謎のインド人クサムとコラバティが加わり(依頼人も常に個性が立っているのもシリーズの特徴だ)、物語をもり立ててくれる。

そしてクライマックスは怪物たちとの闘いへ……。テンポ良く語られるお話は最後には熱を帯びて、正に手に汗握る展開へと進んでいく。後半は特に頭の中に映像が見えてくるような、そして次のページに進むことさえもどかしい気持ちにさせられる。そこはウィルスンのストーリーテリングの巧さだろうか。

始末屋ジャックシリーズは1984年刊行のこのお話のあと、1992年の「ナイトワールド」を挟んで1998年に復活することになる。ウィルスン曰く、ジャックは非常に人気のあるキャラクターで作者自身もお気に入り。だからこそ大事にしたかったといい、それは成功していると言えるだろう。

何度読んでも面白い。そして続きがあるならもっともっと!と思わせる。そんなシリーズのスタートをぜひお楽しみあれ。

Written by ei

9月 1st, 2009 at 4:54 pm

Posted in Books

Tagged with ,

始末屋ジャック応援月間

with 3 comments

repairmanjack.jpgいよいよ発売日も9/30(予定)に決定し、来月末が楽しみな始末屋ジャックシリーズ最新刊「始末屋ジャック 凶悪の交錯」(邦題も決定)。しか〜し、シリーズ的には2006年の刊行で、すでに本国では12巻が出たいうし、シリーズはまだまだ半ば。ちゃんとシリーズのラスト、「ナイトワールド」(たぶん改)まで日本での刊行を継続させるためには、読者を増やさなければならないのだ!

ということで、今日から1ヶ月あまりは「始末屋ジャック応援月間」(笑)として始末屋ジャックシリーズを解説しつつ、これまで日本で刊行された7巻までを紹介していこうと思う。これを見て興味が湧いた人はぜひ、始末屋ジャックシリーズを手にとって読んでみて欲しい。

さて、始末屋ジャックシリーズを書いているのはF.ポール・ウィルスンというモダンホラー作家。一昔前の海外モダンホラーブームの頃、キング、クーンツ、マキャモンと並んで「四大モダンホラー作家」と呼ばれた人の一人で、特徴はストーリーテリングの巧さ。どの本を読んでも最後まで飽きさせずに読ませる筆力がある。俺的には「一気読みのウィルスン」(笑)というイメージで、読み始めると止まらなくなる面白さがある。

ザ・キープ〈上〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 182850
おすすめ度の平均: 5.0

5 ご紹介

ザ・キープ〈下〉 (扶桑社ミステリー)
F.ポール ウィルスン
扶桑社
売り上げランキング: 183164

彼の著作で映画化された「ザ・キープ」は、映画の内容はそれはひどくて(笑)、 しかし原作は非常に良い。しかもこの作品は、のちに彼の作品のほぼ全てを結ぶ「アドヴァーサリ・サイクル」の第一作目になっている。これは人類滅亡の危機までを描く壮大なお話で、しかも実はクトゥルー神話に繋がるシリーズでもあり、始末屋ジャックシリーズもこのアドヴァーサリ・サイクルの「ナイトワールド」へと続いていくことになる。
さらに始末屋ジャックシリーズの一作目「マンハッタンの戦慄」は映画化が進められており、 ここ数年ずっとその企画が練られている状態。(実は「ザ・キープ」のあまりの出来の悪さにウィルスン自身が映像化を嫌っているらしく、それにokを出すにはよほど良いモノにならない限り無理だろうという話)映画化されればこのシリーズはブームになるくらいには面白いので、今のうちから読んでおくと良いよ。w

とまぁ前置きにしては長くなってしまったわけだが(笑)、次からはちゃんと始末屋ジャックシリーズの各巻の内容を紹介していこう。ここまでで興味を持ったあなた。そう、そこのあなた!今すぐAmazonでもどこでも行って購入を!中古なら1円から買えますよ、Amazon。w

Written by ei

8月 26th, 2009 at 4:08 pm

Posted in Books

Tagged with ,